遠距離通勤。

仕事帰りの地下鉄。
ノーマスクの女性はデニム姿でなにやら神経質そうな痩身。
眉間にくっきりと皺が刻まれていて、見るからに不機嫌そうに何かひとりごとをブツブツと呟いている。
先ほど職場でも、郵便局に行く途中で同じような雰囲気のノーマスク女性とすれ違ったが、もちろん別人。
「コロナはただの風邪」とか言い出しそうで、そーですかそーなんですか。
あれはきっと、巷に言うところの「哲人」に違いないのだ。そう思うことにする。

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そもそも最初が間違いだったので、それなりに退屈してない。


同じ地下鉄の車内で、途中駅から乗ってきた結構なトシのカップル。
喩えれば板東英二のような全身「四角い」男性と、市原悦子似の小柄な女性。ワイドドア車のドア脇でいちゃいちゃ始める。
仲がいいのはよろしいですけれど、微笑ましいとかうらやましいと思える光景では決してなく。
ご本人たちは映画の主人公にでもなった気分なのかも知れないが、見せられる方の身にもなってくれ。
そういうの、人知れずご自宅でやっていただきたい。

隣の席に、一旦は座ろうとして背を向けたものの、何を思ったか次の瞬間そのまま別の席に移動していった若い女性。
…これ、地味に傷つくんですけど。
このところ何回か続いているような。
アトピーが見るからに酷かったときは、俺自身も仕方ないことと思っていたが。
その当時だったら、たとえこれが俺自身だったとしても、「俺の隣」に座りたいとは思えなかったから。
当座気を紛らわすために、鞄からヘッドフォンを取り出す…このところは"Get Wild"ならぬ"Colorado Bulldog"退勤(この曲、地下鉄に合うよな~)が習慣になりつつある。

ここ最近では、商店街を歩いてて制服姿の女子高校生に追い抜かれるのも結構へこむ(運動不足!)。
長引くセルフロックダウン生活に、さすがに足腰が弱ってきているらしい。

人からは今どき遠距離通勤なんてといわれるけど、お陰で長い道中、こうしていろんなことを目にするし感じる。
不愉快なことも多いが、お陰でその間に会社でのあれやこれやが「澱」となって、途中駅で全て落としきってから帰宅することができるから。
今の俺には必要不可欠な時間。