3054Fと3428F。

今や京成(本)線は、右を見ても左を見ても味気ないステンレスカー、3000系だらけで、鉄道会社としては計画的に車両を増備してきた結果、大変運用効率がよくなったのだろうけれど、趣味的に見ると「地味さ」にますます拍車がかかってしまった。
その中にあって同じ3000系の「7次車」は、成田スカイアクセス線用として3050形を名乗って6本が製造された。
当初は空をイメージさせる青を基調とした、元々一般仕様車よりもこちらが先にデザインされたんじゃ、というくらいスマートな外観だったが、残念ながら誤乗防止のために本線の方にはほとんど運行されなかった。それでも検査の都合などで8両編成が不足したりすると「代打」で見かけることは割とあったが。

f:id:oku_anijin0406:20211104144342j:plain
左が(旧)エアポート、右が一般仕様の3000系。

廃車が迫る旧型というわけでもないし、沿線に住んでればいつでも撮りに行けるや、と思っていたら、あっという間にこちらのブルー帯、「過去帳」入りしてしまった。
というのも、新型3100系が導入されたタイミングで、「成田スカイアクセスの案内カラー」が2019年より、なんとオレンジ色に変更されてしまう。
3050形は、3100系が導入されたのと同じ本数だけ順次、成田スカイアクセス線を追われて本線へ「異動」。その際には3000系一般型と同じ色に帯色を塗り替え(貼り換え)られてしまった。

f:id:oku_anijin0406:20211104144549j:plain
3100系。回送姿ですんません(どーも好きになれんもんで)

しかし今回転属してきた3054編成(以下"F"で表記)はなぜか、帯を張り替える間もない慌ただしさで、オレンジ色のまま「駆け付け登板」させられているという。
数日前に偶然乗り合わせたのだが、車内床と仕切り壁、シートは新造時からのブルー基調のままなので、なんだかちぐはぐ。
…いっそこの機に本線の一般車の方をブルー基調に統一しちゃったら、と思わなくもなかったが…手間と経費はともかく、それだと(成田空港への)誤乗を誘発しちゃうか。と思っちゃうくらい俺のお気に入りで、何かと地味な京成電車の中でひとり気を吐いているようにも見えたものだ。
そのときはデジカメを持っていなかったので、携帯カメラで記録として収めようとしたのだが、残念ながら盛大にピンぼけ…(携帯カメラのAFはホントーにクソ)。
なんとも悔しいじゃあ~りませんかこのままでは。
というわけで仕事休みの日に何度か撮影を試みているのだが、いざ追いかけ始めると「どじょう」か「うなぎ」のごとく、これがなかなか行き当たらない。

f:id:oku_anijin0406:20211104144925j:plain
みの~♪

f:id:oku_anijin0406:20211104144950j:plain

今日こそはデジカメに収める決意を持って、午後から線路沿いの道を下り方向へぶらぶら散歩しているわけだが。
近くの小学校からは運動会の賑やかな音楽と子どもたちの歓声が、風に乗って聞こえてきた。
年間行事予定通りではなかったのかも知れないが、ともかくも実施できてよかった。
自治体の建物前まで歩いてきたが、この建物への取りつきT字路のところだけがなぜか少し高くなっていて、線路はこれもなぜか路側帯がこの辺りだけ少し広くなっていた。これなら手前側の上り線を走ってきても、側面も充分カメラに収められる「引き」がとれるので、しばらくここで粘ることに。

朝食が遅かったとはいえまだ昼食を摂っていないので、13:30を一応のタイムリミットに設定。
それまでは昼間のパターンダイヤを頭の中で反芻しながらの撮影。お目当ての8両編成は快速以上の優等列車に限定使用だが、3054Fは今のところ特急運用にしか入っていないらしい。
しかし今日も「だるま」の予感に、諦めかけたところで踏切が鳴って、次の上りが特急だったことなどすっかり忘れるほど気を抜いていたら、お目当ての3054Fが颯爽と通過していった…。
f:id:oku_anijin0406:20211104145108j:plain

ところでこのように8両編成が一時的に不足してしまった原因とされているのが3400系、3428Fの9月末引退(5本中2本目の廃車)。
3400系は現在、京成線で唯一残る鋼製車で、残る3本が引退すると京成線はステンレスカーだけになる。
俺はステンレスを模したライトグレーの塗分けがとっても気に入っているのだが、やっぱり鋼製車は錆びも出るし、保守にも手間がかかる。

f:id:oku_anijin0406:20211104145223j:plain
全検明けでピカピカな頃(2016年)
f:id:oku_anijin0406:20211104145328j:plain
3600系との並び(2017年)

これは余談だが、俺が千葉に引っ越してきて、ライブ出演に打ち上げで午前様。初めて乗った終電が、3423号車(成田寄りから3両目)だった。一緒に日付を跨いだ同僚だ(笑)。
そんなわけで3428Fにはこれまでずっと、偶然乗り合わせるたびにひとり思い出してはほくそ笑んでいた、とりわけ思い入れのある編成だった。
3400系自体はご存知の通り、初代AE車(スカイライナー)の下回りを活用して新造(名義)された車両で、今は幻の「大栄車両」(津田沼第二工場:現在、新津田沼駅のイオンがある辺り)で製造されていた。
その後、車両メーカーは統廃合が進み、大栄車両も(鉄道車両製造業としては)現存しない。
津田沼が鉄道連隊に始まる「鉄道の町」だった頃の面影も、どこにも残っていない。

3050形を撮影しに来たはずなのに、こんな具合に3400系のことに思いめぐらせながら、近所の公園へ戻る途中のコンビニでサンドイッチを買っての、遅い昼食。達成感とともに公園ベンチで摂った。
それから部屋に戻ると15時を回っていた。
ラジオを聴かない生活が当たり前になりつつあり、困った。いや、困るこたぁないが。
今日の番組は大物ゲストありで「夫婦円満の極意」、みたいなテーマ。
メールもツイッターも「既婚者さん大集合」になるのは、先週の番組予告の段階で火を見るより明らかだったので(ツイッターではその旨呟いたらなぜか、「いいね」をもらってましたが)、CD流して缶ビールをあけるといつもの寝落ち。
まぁ今の俺にとってはこれが、誰にも邪魔されない休みの日の一番幸せな過ごし方、と言えなくもない。
単に現実から目をそむけているだけ、という考え方もできるけどな。

※本稿における「系」「形」の使い分けは便宜的で、正式呼称ではありません。