通夜の晩

我が一家は、父が急遽予約を取ったホテルに泊まった。
ツインの部屋は、誰が見てもシングルルームの壁をぶち抜いた構造で、バス・トイレが2つついているのは掃除夫泣かせだろうけれど、特に朝の仕度にはとても便利なものだった。
先ほどまでの斎場での酔いがすっかり醒めてしまい、こうなると逆に眠れないので、父と一杯傾けた。
ホテルの柔らかいベッドになじめなかったのか、思ったより悲しみを感じていない自分にびっくりしたからか、結局なんだか、寝付けなかった。

ホテルで朝食を済ませてから昨日の斎場へ行き、お別れの会。
斎場に泊まった叔父は、よく天日干しされた布団が不幸なことに杉花粉だらけで、何度いっても洗濯物を外に干す祖母を思い出して夜中にうなされた、と笑っていたっけ。