ベートーベン/ピアノソナタ集

この流れで、無償に聴きたくて仕方なくなってしまった。
「月光」に加えて「熱情」、「悲愴」。いずれも多感な高校時代に初めて聴いて、衝撃を受けた曲。
都内の実家に帰れば、もちろん俺自身が持っているCDに加えて両親の所蔵音源も含めると、演者が違うのがごろごろ出てくるほどメジャーどころな曲ばかり。


しかしご存知の通り、気軽に実家に帰れる状況には未だにないので、仕事帰りにBookoffに立ち寄り、難なく若き日のアシュケナージの名演盤を入手。
中古CDで気掛かりなこと。
あのビートルズでさえまだ時代的にはモノラル音源だったり、そうでなくとも初期のCDはアナログ録音からデジタルに移し替えた(だけの)ものの場合、音の強弱の幅が大きいクラシック音楽ではとりわけ、曲全体では鳴っているかどうかもわからない小さな音量になってしまっている*1ものが多かった。
最近はこの手の音源についても「(デジタル)リマスター」が当たり前になったので、滅多にそういうのに当たることはなくなったが…今回のアシュケナージ盤も運よくこうしたリマスター後のものだったようだった。

レコード盤からCDへ。そのCDも今やネットに取って代わられつつある。
こうして「メディア」そのものが変わるたびに、実に多くの音楽記録や名盤・名演が失われていく。それでもこうして残してもらえただけ、感謝しなければならないんだが。
ニュースで見た話では、コロナ禍で学校行事が減ったことにより卒業アルバムのコンテンツも激減。そこである学校では父兄が知恵を出し合って、スマホをかざすと動画が表示されるものを作ったという。
俺が引っかかったのはこれ、スマホのアプリやOSフォームそのものがアップデートされただけで、読めなくなったりはしないんだろうか、という気掛かり。
最近は本当に「脆弱性」だとかいろんな理由をつけては、メディアそのものが変わってしまうような出来事が起こるスパンがどんどん短くなってきているし。
かけがえのない大切な思い出たちが、「結局MDよりもカセットテープの方が長生きでした」みたいなことにならなければいいのだが。

話は逸れるが俺の高校時代の卒業アルバムは、写真部員だった俺が記録係をなし崩しで担当させられた。
証明写真のような卒業生ページとは別に、クラス毎のページでは、他のクラスだと得てして、今でいう「陽キャ」な、クラスカーストが高い人たちほど多く写っているものだが、ウチのクラスではひとりも欠けることなく全員の写真が載っている(割と自慢)。
翻って「陰キャ」だった俺は、自身が記録係に決まったかなり早い段階から意識して撮影を始めていたので。
教室の机や柱や壁のように気配を消したまま、このクラスの日常を記録できるのは俺しかいない、という妙な使命感が強かったのを覚えてる。「陰キャ」も、気の持ちようだーね。
まぁ枚数が多くなってしまったので、選定以上にレイアウトの担当者がかなり苦労しただろうけれど…。

*1:デジタルはオーバーロード(音量レベルオーバーによる歪み)に無茶苦茶弱いので