宗吾霊堂あじさい祭り

紫陽花、というとやっぱり鎌倉まで足を延ばしたいところだが…駅張りのポスターで、近所にそんな「名所」があったのなら、ということで尋ねてみた。

下り電車に乗るのは、仕事を辞めて以来初めてではなかろうか。
そういえば今回意図したことではなかったが、元同僚からメールをもらって思い出した。あのドトーの退職から、この6月で丁度1年だった。
下りホームは、今は日常、仕事帰りに降り立つところになっているので、旅立ちの高揚というより、なんだか違和感の方が際立つ。
途中の車窓から見えた元職場は、土曜日にも関わらずやはり窓が開いているのが見て取れ、相変わらず誰か出勤中らしい。

そんな今日の天気は、紫陽花には不似合いなほどの炎天下。
途中、八千代台での乗り換え待ちの間、上り電車を数本、カメラに収めた。
先週末、実家で観たテレビ録画で、Casiopeaのキーボーディストにして熱烈な鉄道ファンで知られる向谷実さんが、まだデビュー前のAE車を撮影するドキュメンタリーを見たこともあり、ホームからだったが、上り特急を流し撮りしてみた…こういうの、デジカメになってからはその場で出来を確認できるので、気楽に挑戦できるようになった。写真部員だった高校時代だったら、帰宅して学校行って、暗室入って現像が終わらなければ、結果がわからなかった。それはそれでドキドキしたものだが。

降り立った宗吾参道駅では、一面の水田に水が張られて、稲が青々としている景色。その向こうには広大な車庫。

先ほど先行した佐倉止まりの都営車が入庫したり、AE車が出入りしたり、本線の末端に位置するものの、結構回送車の出入りが多い。





霊堂とは反対の出口から駅を出て、少し周辺をブラブラ。天気がいいのに気をよくして、結局逆方向の車両管理所まで歩いてしまい、門扉の外から展示されている保存車両を「見学」した。

それから駅前の灯篭も真新しい、最近整備されたらしい参道に戻り、宗吾霊堂へ。

坂を上りきったところで、右手の脇道に手書きの「近道」案内看板があったので、車道を見限って右斜めに脇道へ。

てっきり何らかの個人商店へ誘導されるのかとも思ったが、そういう商売っ気からではなく、地元の方々の、参拝者を気遣う敬虔な信仰心によるものだったらしい。家々の庭には紫陽花に限らず初夏の花が満開で、不意に大楠に守られたお稲荷さんの社が現れたり、滅多に車が入ってこない静かな舗道は夏いっぱい、宗吾霊堂に続く国道に、郵便局あたりでT字に合流するまでの住宅街散歩。



駅から10分ほど歩いただろか、退屈しなかったのでそれほど長くは感じなかった。宗吾霊堂、正式には東勝寺という。開闢縁起に興味のある方は、別途ググってもらうことにして。
正面左手の門柱には、中村吉右衛門、右には四代目・市川久蔵の名前が。

池上本門寺ほどもあるかと思われる広い境内、突き当たりの本堂階段では、色鮮やかなアジサイの鉢植えがお出迎え。まずは撮影を後回しにして、お参りする。

そのまま本堂裏手に進むと、多種多様なあじさいが植えられており、今は柏葉紫陽花が盛り。東屋の辺りでは淡い青の額紫陽花も満開だった。


「今年2月の大雪の影響により、花つきが思わしくありません。何卒ご了承ください。」とのお詫び書きがあったが、日頃からの手入れのご苦労いかばかりかと、頭が下がる思いだ。初めて尋ねた俺としては決して見劣りするものではないと思えたが、そういわれるのならぜひ来年にも期待しよう。

ところどころに掲出されている紫陽花まめ知識的な手作り案内も、散策を楽しませてくれる。









ひととおり境内を回り紫陽花を楽しんだ後は、同じ道を宗吾参道駅へ戻ってもよかったのだが、手元の地図上では成田寄りの公津の杜駅とのほぼ真ん中に位置しているようなので、引き続き公津の杜駅まで歩いてみた。

想像通り、途中あまり見所のない自動車道路が続く。丘陵を降りきったあたりで巨大マンションが数棟見え、その手前右手側は遊水地を兼ねた公園として整備されている、新しく開発された地域。

4車線もある、駅への取り付き道に入ると、もう千葉だろうが神奈川だろうが変わらぬ新興住宅地。


京成沿線ではおなじみの「ユアエルム」というショッピングセンタービルが見えてきたので、この下が駅かと思ったら手前のおしゃれなガラス張りの建物が公津の杜駅だった。線路は駅の下、掘割の中を走っている。

目の前で上り特急に行かれてしまい、次の電車までは20分待ち。さすがにここまで来ると、本数が少ない。ただし俺の場合、撮りテツモードのときでも帰宅後一番印象に残っているのは「電車待ち」だった、なんてことも、結構あるもので。
こうして今回もまた、近所にお気に入りの場所をみつけたのだが…それにしてもまた、「ワンマン」だったなぁ。まぁ誰に気遣いもいらず、こうして気ままなのがラクでいいが。
ちょっと日焼けしすぎたか、翌日は右腕が赤く腫れてしまった。

帰宅すると、ツバメの巣からは幼いくちばしが4つ、覗いているのが見えた。