日曜日、宗吾霊堂あじさい祭り。

日曜日なのになぜか、9:00には起きてしまった。
昨夜の天気予報が冴えないので行かないつもりでいたのだが、今日になって千葉の予報では午後晴れマークも出たし、特に急ぎでやらなければならないことがあるわけでもないので、手持無沙汰で一日部屋にいるよりはと、11時には部屋を出た。宗吾霊堂あじさい祭り。
昼食を現地で摂るスケジュールにしても、なにせ近い(電車で30分)のだ。
近所のスーパーで昼食用のサンドイッチを買ってから駅へ。

久し振りに降り立った宗吾参道駅
数年前に訪れた時、すでに廃屋だった民家の庭にたわわに実った梅の実が坂道を駅に向かって転げ落ちていた場所は更地、梅の木も跡形もなかった。


すっかり慣れた脇道経由。
途中ですれ違ったあじさい祭りから駅へ戻る若いご夫婦が、満開のあじさいの枝を持ってたので、「今年はそんなサービスが」と思ったら、国道に出たところの洋品店が、恐らく自宅庭のあじさいの枝を、店頭バケツの水に刺して置いてくださってて「ご自由にお持ちください」の貼り紙。どうやらこれだったようだ。

俺も持ち帰りたい気分ではあったが、帰りに見ると残念ながらもう、ちゃんとした形の花は残っていなかった。

宗吾霊堂、鳴鐘山東勝寺。
まずは本堂でお参りを済ませてから、大本坊の前の石造りのベンチをお借りしてサンドイッチを頬張り昼食を済ませる。


今日はポットに紅茶も持参したが、今年初めて作ってみたアイスティーは、まだ手慣れてなかったせいで氷の量が少なすぎて、ぬるま湯のまま保温されていた。


期間中の日曜日だったこともあり、境内には農産物や骨董市が出ていたが、(コロナ無関係に)毎回昼食になりそうなものは売っていない。周辺にも定食屋、というかこじゃれたカフェが1件目につく程度で、もちろんコンビニもないのだった。

本堂では、琴の演奏の準備が進められている。客席側にだけ、長椅子型のベンチが並べられているが、アジサイのある本堂裏手の庭に東屋は2棟あるだけで、そもそも座れるところが限られている。
大本坊の左手勝手口前の、青いアジサイが見事に満開なのだが、そもそも本坊のある位置が本殿のメインストリートから1本裏手な上に、こちらに歩を進めてきた人たちもなぜか本坊の正面玄関から左手の勝手口に目をやることなく右折して行く。もしかしてここ、穴場?


いわゆるアジサイ鑑賞スポットは、本堂裏手の庭園になるのだが、奥の庭にたどり着く前にも境内いたるところでこの時期、様々な種類のアジサイが目を楽しませてくれる。
開花状況は、満開の数年前の景色を覚えている俺としてはさすがにまだちょっと早かったか、という感じだったが、手入れの行き届いた花々は生き生きとしていて、今年もキレイだった。




シーズン中の日曜にも関わらず、駅からこちらに向かって歩いていた人影は数人程度だったので、境内の賑わいは自家用車の人たちがほとんどだとは思うが、予想通り遠方の人ほど天気動向が気になって躊躇したのだろう、人出もそれほど多くはなく、ゆっくりと回ることができた。









しかし天気は二転三転、陽が差したかと思うと今にも降ってきそうに暗くなるのを繰り返し、見上げると雲の流れが台風のときのようにかなり早い。
近くに低気圧か大きな積乱雲でもあるのだろうか。

一回りして本堂に戻ってくると、これまでも何度か聞こえていた雷鳴が、急に近くなってきたような気がした。
念のために傘は持参しているし、梅雨のような降り方なら雨宿りできる場所はあるのだが、ゲリラ豪雨、雷、それに突風となると話が違ってくる…「すぐに頑丈な建物の中へ」といわれても、そんなものが都合よくあったりはしない場所だ。仮にあったとしても、少ないとはいえこれだけの人数が殺到したら、別の「災害」に巻き込まれかねない。
ここはどうやら迷っている場合ではないな、と決断。本当はこの後、公津の杜駅の方へ足を延ばそうと思っていたが、宗吾参道駅へ速足で戻ることにした。
売店1軒ない駅前まで無事に辿り着き、自販機で何か飲み物を買おうと取り出した財布に、大きな雨の雫が落ちてきた。
駅へ駆け込むと、あっという間に驟雨。
丁度到着した下り電車で、ドア開閉のため屋根のないホームに降りた車掌さんはずぶ濡れだ。駅の反対側からは部活帰りだろうか、下校途中の高校生たちが思わず駆け込んでくる。


田植え時期で水が張られた一面の水田を、雨音が包む…。
こういう天気の急変も、一瞬信州の山の中にいるような錯覚を覚えることがある。
恐らく過去の個人的な経験がリンクするのだろう。
駅前のひと気のない車道も、駅を取り囲む低い丘に茂った木々も、時折聞こえる鳥の声も。
俺のお気に入りの場所のひとつ。
そんな場の空気感をひと通り慈しんでから、ほどなく滑り込んできた14:05発快速電車に乗って、宗吾参道駅を後にした。

これも俺の想像通り、自宅最寄り駅で下車する頃には雨も止んでしまい、俺は結局、鞄に入れてあった折り畳み傘を使わずに済んだ。

東京都の新規感染者数、今日で30日連続で前の週の同じ曜日の感染者数を下回った(翌月曜日には1,000人を下回り、これは1月以来のことだったそうだ)。
絶好のタイミングで、出かけられたのかも。