物語の死。

このところラノベをいくつか読み流れてきて、直近では2巻が出たばかりの高校生のバンドものが好みだったので、文庫本を鞄にしのばせて何度も読み返していたのだが。
元々ネットの小説サイトで「連載」されていたものが約半分の字数に圧縮された内容で出版されたのだと、出版後に熱烈なファンの方がツイートしてくださってたので、ようやく俺もネット上の「原作」の方に辿り着くことができた。
膨大な既掲載分を、これも残りを惜しみつつ1章ずつ読み進んでいたのだが、物語自体はこの頃まだ、俺が読み進むのと並行してほぼ毎日のように新たな物語が更新されていた。
しかし今年のGWを前に、その更新が止まってしまった。
話はようやく後半の(新たな)クライマックスに向かうところで、作者によればまだ頭の中にしかない物語を推敲して、GW明けから連載再開するとの宣言をされていたので、楽しみに待っていたのだが、GWもとうに過ぎた6月10日付でアップされたのはこの物語の続きではなく、全くの新作だった。
音楽やバンドや楽器演奏への造詣や蘊蓄話が俺にとってはツボだったのだが、新作の方はいってしまえばラノベでは至極ありきたりに見える*1、未来から転生してきたヒロインのお話なんだそうで…。

これが普通だとネットの小説サイトを巡回しているうちに目に留まった作者のファンになり、そんな人たちが増えてアクセス数が一定レベルを超えると大手出版社からお声がかかって出版、という流れ(?)なんじゃないかと勝手に思っているんだけど、俺の場合はこの作家への入り方が期せずして逆になってしまったわけで。
俺の知る限りいわゆる古参の方々は特にコメントもなく、当たり前のように次の作品の方に乗り換えているようだ。
編集者の「伴走」がある商業出版と違って、ネット小説では考えてみれば別に、必ず物語を完結させなければならない理由すらないようで、別件で調べものをしているときに偶然巡り合ったコメントでは、別の作品で俺と同じような目に遭った方の「恨み節」を目にしたりする。
どうやらこの程度のことはどこでも起こっているようで、俺たちの登場人物たちはみんな、一斉に「死んでしまった」らしい。
まさかこんな死に方があるなんて、思ってもみなかった。
この「世界」の創造主は、ときにとっても気まぐれで。
これも時代の流れというものなのか。
同日、俺はこの作家さんへのツイッター上でのフォローを切った。
出版社があれだけ派手なおぜん立て(メディアミックスなPR戦略)までしてくれて2巻まで出したのに、素人小説家気質は変わらなかったようで。
プロの仕事、ナメすぎ。
俺としてもいい年して、全く初めての経験になった。
(これを書いている時点でさらに半月ほどの時間が過ぎたが、更新される気配はない)

*1:このテは俺は全く読んだことないけど