昼休みに


カップラーメンと菓子パン。今日、向かいあって座った兄ちゃんの昼食。
自販機のおにぎり1個と缶コーヒー。別のあるスタッフ。
タッパーに冷や飯だけ持参、ふりかけすらない。右隣の席の30歳代に見える男性。
3個98円のアップル・デニュッシュ。毎日俺が出勤前に昼食を買うスーパーにあるので、俺も知っている。
さっきからむこうの席で爪を噛んでいる20歳代に見えるヤツは、どうやら今日も昼食を摂らないつもりらしい。
妻帯者や奥さんなら、弁当を持参…できるならまだいい方で、俺の目からみると社員食堂のメニューを注文利用しているのは多くても全体の4割くらいか。
三食全てがこんな調子かどうかはわからないし、個人的に栄養摂取への考え方や食への関心度も異なるだろうけれど。
少なくとも昼食はこんな栄養状態で、多くの人たちがそのまま午後の仕事に就く。
老いも若きも、男も女も。
(未来の)若者からの「搾取」が問題になって久しいが、もはや若者だけでなく広く労働者全世代での問題にみえる。

俺は好んでここに辿り着いた阿呆なので、職場環境も人間関係も(前職場よりも)良好と感じているし、今のところ気持ちが沈むこともないが、この光景にだけは毎日、心が痛む。もちろん不本意ながらここに流れ着いた人もおり、人によっては作業への姿勢からあからさまにそれがわかっちゃったりもする。
俺が、この歳になるまでお気楽すぎるんだろうけれど。
そんな自身の「いいところ」も見つかっちゃうほど。

社の名誉のために付け加えておくが、もちろん給与水準は同業者と同等、とりわけここだけが低いということはない。従ってここだけが特殊な環境、とは決して思えず、現業部署をもつ他社はどこも、似たりよったりなんではないかと思う。21世紀のある日のニッポン。
一方で、SPに護衛されながら百貨店で買い物をして、「ちゃんと(消費税)8%でした」と、市民の景気状況を「視察」したつもりになってるヤツぁ、ただの能天気バカにしか見えねぇな…一体、世の中の何を見ているというのだろう。雑誌の主な広告主を見れば景気がわかるし、ちゃんと電車に乗って通勤していれば駅貼りや車内広告でも、社会の傾向は見て取れるはずだ。

時を同じくして、原因はそれぞれ違うのだろうが、
コンビニのハムが、はがせないほど薄くなった。
野菜ジュースの味が明らかに薄くなった、と思ったら数日後に取り扱いがなくなり、棚から消えた。一番安価だったスライスチーズも取り扱いがなくなってしまい、実質値上げだ。
朝食用に買っているバターロールの数が減った。
3%上乗せのはずなのに、1,000円の床屋代はなぜか1,080円になる。
電車もバスの運賃も値上げ。
電気もガスも水道も、切手や葉書も料金があがる。
この機会を捉えて価格改定や容量変更をしないと、多くの会社がもうもたない、という苦渋の判断だろう、とテレビで大学教授が話していた。
いったいいつになったら、ここまで回ってくるというのだろうアベノミクスの恩恵とやら。
願わくば8%になる前に。
俺の新年への、祈り

去年、書き溜めてあった話…昼食の光景は今も全く変わっちゃいない。
企業が利益を追求しなくなったら、それはもう「資本主義」じゃなくなってしまうわけで。
だから社内留保がいくら増えようと、シャンパングラス・タワーのように上からカネが降りてくるというようなことは決してない、と俺は思うのだが。
経済学者も政治屋も、恐らくこの現代のニッポンで餓死者が出たところで、正論なんだかメンツなんだか、決して自説を譲ることはしない。