ふりかえり。

自由研究(宿題)、8月最終日に一気にやっつけるタイプでした(^^;
工作とかはまだしも、「お天気観察」とかなかなか凄惨…ネットとかなかったもんね当時は。

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「仕上がり予定時刻」がタイムリープ


実に久しぶりに、ちょっとした知り合いのブログでメジャーなステロイド外用薬の名前を見てしまい、丁度酔っ払ってたこともあり反射的に(勘違い)コメントしてしまった(ほんっとごめん)。

いい機会なので(?)、以下は本筋からかなり逸れると思うが、自分にとってはすでに当たり前になっていることも含めて、概観・補足しておこうと思う。
なお、私の場合は生来のアトピー性皮膚炎の「治療薬」と勘違いして、もう何十年も漫然と使っていたことが原因で陥った副作用(リバウンド)なので、通常肌荒れ程度に一時的に使用する程度ならば有効な薬剤であり、副作用も含めた問題が起こる可能性はないと思われる。
ただし、添付の注意書きに必ず記載があるものと思うが、長期使用は禁止とされる。
この場合の「長期」とはおおむね1か月以上と考える。

また、私の場合は幸運なことに今や全く症状に悩まされることがなくなってしまったので、以下の情報はあくまでも当時の私が(いち患者として)認識していた内容であり、正確な情報や最新のものが必要な方については、自己責任で調べてアップデートしておくべきであることをお断りしておく。

リバウンドとは

強い薬を使って症状を抑えている状態で、急に投薬をやめることで症状が急速悪化、いわゆる「揺り返し」。
恐らく体内では自己治癒力が強い薬に頼ることで一時的に落ちている、もしくは様々なバランスが崩れている状態なのではないかと思われる。
巷間有名なのは、強硬なダイエットに伴う「リバウンド」の方だろう。
ステロイド剤による場合は、長期使用することで皮膚が戻らなくなり、私の場合は使用期間が長かったこともあり、一度でも使用したことのある部位(ほぼ全身)全てが「いなばの白兎」状態、長いこと皮膚が戻らないズル剥けで、浸出液が止まらない状態になった。
見た目からなら強烈な痛みを感じるべき状況だが、表皮ではなく骨身から続々と湧いてくる猛烈な「痒み」(といってよい感覚なのかわからないが)の中にあって、うめき声をあげて身体中を硬直させ、固まっているしかない状況が半年ほど続いた。この「痒み」は爪をたてて表皮を掻きむしったくらいではその「震源」に届くことは決してない。

投薬中止によって大幅に増幅されているとはいえ、生まれた時からアトピーだった自分はこの感覚を「痒み」だとずっと思っていた。どうやらステロイド剤によってもたらされていた感覚だったことに思い至る。
両親にとっては、ステロイド剤で「治療中」の頃も自ら皮膚を掻きむしっては傷つける自分の子どもがさぞかし不憫でならなかったことだろう。とりわけ人前などで「掻くな」というのが口癖のようになり、私はこれくらいのことが我慢できない自分自身を責めることになるわけだが、リバウンドを経てある晩を境にステロイド剤が身体から「抜けた」(「痒み」が嘘のように消えた)経験をし、逆に健康な人たちが肌で感じていた「痒み」というのはこういうものだったのか、という事態に至って、あの頃の「痒み」は到底我慢できるものではなかった」と今になって思う。
因みにステロイド外用薬が体内に蓄積される、ということは科学的には未だ証明されていない。あくまでも患者だった自身の経験談でしかない。しかし複数のリバウンド経験者からも同じような体験をした、という話がよくきかれる。

ステロイド剤とは?

確か昭和30年代に、副腎から分泌される副腎皮質ホルモンに、糖を分解する本来作用とは別に強い抗炎症作用があることが発見され、これを人工的に組成したものがステロイド剤、だったと思う。
部位によって使い分けるため、薬剤の強さは5段階(当時)。顔面への使用は禁忌だったと思うが、誰もが知っている女優さんが「肌荒れ防止に」使用しているとして挙げていた外用薬がステロイド剤だった、というようなこともあった。
長いこと副作用の少ない、アトピー性皮膚炎等にファーストチョイスな薬として用いられてきたが、1990年代になって久米宏さんがメインキャスターを務められた「ニュースステーション」(テレビ朝日)で重篤なリバウンドがあることが報道され、社会問題として表面化した。
放送当時、私はすでにステロイド剤の使用中止によって全身皮膚がない状態で寝たきりだったが、自身の状況に病名がついただけでほっとしたことを憶えている。

薬局での取り扱いについて

薬剤師の常駐するカウンターのガラスケースの中や背面棚に収蔵して、客が簡単に手にできないような商品管理をしている薬局もあれば、虫刺され薬の横に無造作に置かれて販売しているケースもある。
購入にあたっては医師の処方箋は必要なく、銘柄にこだわらなければどこのドラッグストアにも必ず置いてある、比較的入手しやすい薬剤であることは今も変わりない。

(皮膚科)医師の指導の問題

患者は、話を思うように聞いてもらえない、治療指導に効果がないなどの理由で医師を見限ると、黙って転院してしまうことがほとんどで、自己都合で使用中止をしたケースでは私のように数日で急速悪化、通院はおろか外出もままならず社会から引きこもることになってしまうので、医療現場では長いこと、リバウンドの存在そのものについて認識されていなかった可能性がある(後にアトピー難民、ドクターショッピングなどといわれた)。
私自身は中学生くらいの頃にはすでに、アトピー性皮膚炎自体が死に至る病ではないし、現代の医療下では治らないもの、末永く付き合っていく病、と思っていたため、転院を繰り返すようなことはしなかった。将来への心配から両親や親戚が勧めてくる様々な民間療法などにも安易に手を出すようなことはなかった。
ただ思春期以降、自身の外見に対するコンプレックスは根深くなり、諦めたり断念したりしたことも多い。就職活動期に受けたエゴグラム(心理テスト)では、「父なるもの」(社会的規範)の順守に厳しい一方で、自己主張力が極端に低い、という結果で、担当官によるとアトピー性皮膚炎の人に大変多い気質、だといわれた。
症状がすっかり落ち着いてしまった今となっては、心の中だけは学生気分が抜けないままある日突然、見た目は年齢相応に老いた(笑)自分が異世界に放り出された「今浦島」のようなとまどいが、ここ何年も続いているが、これは全く別問題。

リバウンドが一番キツかった時期、文字通り「二人三脚」で治療してくださった漢方医の先生は、いわゆる薬を全く使わない方だった。
市販の食材を薬の代用に使われる指導とともに、湯治を強く勧められたので、半年ほどかけて関東周辺の日帰り温泉をいくつか回り、先生の指導も受けながら自身の身体に合った温泉を探し出し、私の場合は最終的に秩父に落ち着き、その後数年間、平日を中心に通った。
ただれた皮膚が見た目に様々な想像をさせてしまうので、気分を悪くされた方もいたかと思うが、平日の湯治では複数の長距離トラックの運転手さんに、同業者でも昼夜逆転生活などで自律神経のバランスを崩し、重い皮膚症状が出てしまう方がいる、ということで声をかけていただき、励ましていただいたことは忘れられない。
その後、漢方医の先生は残念ながら「道半ば」でご自身が体調を崩され、やむなく東京を離れられた。そのころには私自身の症状も落ち着いてきており、それまでにお教えいただいたことを自分なりにアレンジすることも覚えたので、同院の後任の先生が仰々しく「オーリングテスト」なるものをやって処方した漢方外用薬にステロイド剤が配合されていた(「痒み」の再発から判明)ことを機に、思い切って通院をやめた。

足掛け10年ほどで、いつの間にか日常生活で症状に悩まされることがなくなっていたことに気づいたが、数年前、眼科医で処方されたステロイド点眼薬を半年ほど使い続けていたら額がガサガサになり、懐かしい「痒み」が沸き上がってきたのに至って、ステロイド剤がこの特殊な「痒み」感覚の原因になっていることを確信した。
眼科医には予め闘病体験について簡単に説明してあったので、以後ステロイド剤の入った点眼薬の処方はやめてもらうことができた。
その後もう数年、額の湿疹は再発していない。

かなり前のことになるが1990年代後半に患者の会に身を置いていた頃の、ごく限られた範囲で自身が出会った方たちからの印象では、
副作用(リバウンド)が出る投与量にはかなり個人差があった。
年単位で使用した記憶がないのに重篤なリバウンドに見舞われたケースがある一方、私のように何年も漫然と投与し続けたのにリバウンドといえるような重篤な症状が出なかった、というケースもあった。
男性よりは女性の方が、予後が長引く人が多かった。
性差によるホルモンバランスと何らかの関係があるのではないかと思われるが、厳密な統計を取ったわけではないので、あくまでも私が身を置いていた場限定の話だったかも知れない。

明らかに投薬を中止したことが原因で皮膚症状が悪化した場合

劇的なリバウンド発症を避けるためには、急にやめるのではなく時間をかけて、投薬量と使用頻度を段階的に制限、減らすようにする(間歇療法)のが有効とされた。
今はステロイド剤以外の新薬も複数開発されており、症状が激変しないよう併用しつつ投薬を減らしていくといったこともできるようになっているらしい。ただしこれらはまだ市販薬ではなく、使用にも専門的な見識が必要なので医師と相談、ということになる。