夜のお散歩、拡大版。

春の雨上がり。
暑くなく、寒くなく。
なのでいつものコンビニまでの散歩を、はるかに遠回り、寄り道して。

なぜか気ばかりはやって小学校の裏手の角を曲がると、
予想通りその一画だけが、薄紅色の別世界だった。

仕事を辞めてやることもなかった数年前に
カメラ片手に散歩してて偶然みつけたんだ、「俺の桜」

俺以外の誰も、わざわざ来ないし、こんな裏道誰ひとり通らない夜。
それでもひっそりと、華やかに。
風の音に混じって、音にならない歌が聞こえる気がする。
人の一生なんて、ここでこうして根を張る君たちに比べたら、
はるかに儚いものだろう。
そしてまた来年の春、こうしてめぐり逢えることが
どれほどの幸せかについて、じっくりと思いを馳せてみたんだ。