長〜い前置き(というか自分へのいいわけ)


俺自身は日頃から、自身の感情を顕わにする、ということがないタイプの人間だと思いこんでいる*1
ときどき、音楽であれ芝居であれ、自身を取り巻く人間関係であれ、感情を(いい方向へ)刺激されるような出来事に遭うと、しばらくは新しい刺激を受け付けられなくなり、この「たったひとつ」を繰り返し味わいつくすまで身動きできなくなることがある。他人から見たら、すぐに立ち止まってしまうドンくさいヤツにしか見えないに違いない。
逆に、次から次へと映画を観にいったり、ライブをハシゴしたりする猛烈に活動的な人、というのが俺の周りにも多くいる。俺から見ると不思議で仕方なく、俺の感情回路はそれほど器用にはできていないらしい。
件の映画を初めて、テレビで偶然見たのは、今年の隅田川の花火大会を断念した日の夜だったから、今回ももう、なんだかんだで半月もこんな状況なのか俺は…。時間が止まっている、というか時間を止めて、ずっと浸っていたがっている。
本人も困ったことには、年に1度はこんな風になってしまうことがある。
このところ「アウトプット」過剰だったのか(とも思えないが)。
俺自身としても久しぶりのハマリっぷりで、見方を変えればこうして外部から刺激を「インプット」して自身の感情に揺さぶりをかけることで、日頃何かと自分の事情は置いといて、という「オトナ」な振る舞いを求められる現代の社会生活から、無意識に心的恒常を維持するとともに、自身の感情が鈍らないようにしている、とも思える。
しかし一歩間違えると無気力な毎日になってしまい、これもHSPの成せるワザ、なのだろうか。
せっかくの連休が非生産的になってしまうかも知れないが、英気を養うという意味でも必要な時間、なのかも知れない。
今回のハマりっぷりはといえば、2年ぶりくらいにレンタルでDVDを借りてきてしまい、毎日のように(細切れで)見ては、恥ずかしいことに同じシーンでひとり涙している(何だコレ?)。

作中の舞台はかつて俺が、すがるような思いで月に1度は湯治に通っていた、見慣れた秩父の景色でもあり。
ともかくこうなるともう、「秩父が俺を呼んでいる」、としか。
ただ目に映るだけの景色は、見ていないようでいて何となく憶えているもので、これはだいたいこの辺り、このシーンはこの辺…と自分なりにマッピング。ネットで探せばいくらでも情報はあるのだろうがその前に、その「答えあわせ」に現地に赴いてみたくなった。情報社会には明らかに逆行した発想だ。
こういうの、今は「聖地巡り」などというらしい。これもこのトシにして、初体験。
話は前後するが、帰宅してから「成果」を検証するためにネットで調べたところ、出るわ出るわ…「聖地巡礼」の先人たちの詳細なレポートが。それなりの機材(と手間)を使って、映画と同じカット割りで撮影するこだわりよう。撮影時期や時間まで想定して撮っている方まで…。当たり前だがどの写真にも「主人公たち」の姿があるわけもなく、写真としてみたときは「物語り」があるわけでもなく、見ているうちになんだかとっても空虚な気分 *2になってしまい、どうやら俺は、この道にはハマれそうにないことを確信した。

それにしても例によって、天気がなぁ…*3
一面の曇天。低い雲がびっしりと垂れ込めている。予報では山間部で夜になって雨。
その関東山間部へこれから向かおうという無謀ぶりだ。
遭難の危険がある道行きではないが、都心へ向かう道中の半分くらいが定期券の範囲内での移動だったこともあり、何度も途中で引き返そうかと迷っていた。
ようやく気持ちの踏ん切りがついたのは、はるか飯能まで辿り着いて、ローカル線のボックスシートに座ったあたりから。
俺のゴールはあくまでも、「湯治」。以前通っていた日帰り入浴施設のひとつ、武甲温泉とする。
最寄り駅、物語の中でも出てくる横瀬駅は、夜のシーンが印象的なので、暗くなってから立ち寄ることにして、明るいうちは秩父市街か。と俺の脳ミソが段取りを整理するために、猛烈に回転し始めてしまう。
秩父といえば一般的にまずイメージされるのは(もちろん湯治なはずはなく)、「秩父夜祭」と「札所巡礼」。だが自分のことで手一杯だった俺にとって、このふたつはコンテンツとしてあまりにもデカすぎた。
しかし今回重要なシーンのひとつに「札所10番 大慈寺」が含まれている。これを契機に札所巡礼についても知って、あわよくばハマってみるのも悪くない。
7月からの実写版映画の封切りに合わせて、9月まで関連資料の展示会もやっているという。
これと温泉をメインの目的に据えれば、今日の来訪に天気は関係ないよな。
とここまで長〜いいいわけを自分自身にして、ようやく重い腰を上げるのだった。

しかしこうして迷っているうちに*4、部屋を出る時間がどんどん遅くなり、当初予定より2時間もの遅れとなってしまった。会社に出るのと同じ時間に部屋を出ていれば、千葉からは遠いとはいえ昼前には着けていたはずだが、今からだと現地着予定は14時過ぎだ。
で結局、唯一バス移動になるエリア外、大慈寺は後日改めて、になってしまった。
因みに、検索とかにいちいち引っ掛かるのもアレなのでここまで映画タイトルを伏せちゃってますが、以後の画像からバレバレなので、よしなに*5

*1:本当のところはどうだか、わからないが。

*2:アニメ版公開時には、「聖地」で撮影するとキャラクターが写りこむスマホ用のアプリが配布されたらしいが…何か世の中、俺の知らない間にスゴイことになってるのね。

*3:俺、自覚のある雨男

*4:家事ははかどったが

*5:っつーか秩父、という時点でもうバレバレ