手帳

前の職場では、あまりの多忙ぶりに加えていろんな仕事が手戻り作業になってしまい、なぜか女性ばかりの部署で、見かねたこれも女性上司からは、俺の仕事が納期設定通りに捗っていないのは、「大きい手帳を使わないからだ」などと。
そうなると周りの他のスタッフからもよってたかって*1責められ、「できることからまず、そうするべきだ、そうしてみるべきだ」みたいな異口同音、学級会状態。まぁ俺としては仕事で結果を出して見返してやる、という選択肢もあったはずだが、当時の俺はまだ若かった(?)しそんな意地も自信も、仕事そのものへの熱意も既になかったので、泣く泣く買ったばかりのお気に入りの手帳を買い換えることになった。
それでもわずかばかりの意地で、そのときは偶然実家に戻っていたタイミングだったこともあり、吉祥寺の(千葉の職場近辺にはどう考えてもなさそうな)シャレオツな店で、これまた職場の誰もがもってなさそうな色のものを買った。この職場には結局、13ヶ月しかいなかったわけだが、その後もなんとなく手帳の使い方自体が習慣になってしまったのか、版面が変わるのもいまさら面倒くさいので、年に1回は同じ店にわざわざ行っては、毎年色違いのものを購入し続けている。
というわけでいよいよ月替わりを控えて今夜、来年の手帳を新調しに、仕事帰りに寄り道していつもの店へ。
実家方向への電車に乗ったわけだが、自分でも不思議なことに今やあまり「帰る」という気分にならなかった。
たった5年で、身も心も千葉県民か俺は。
店に着くと、やはり今年も千葉の俺の住んでいる辺りではあまり見かけないような、様々な色や手触りの表紙のものがあり、しばらくひとり楽しく迷う。その上でいままではあえて明るい色なんかを選んでいたのだが、来年のものは逆にシックながらもちょっと不思議な色味のものを購入してみた(画像、みせたらんもんね〜)。

さてさて、2018年はどんな年になるのやら*2

ところで手帳を買うことだけを楽しみに勢いだけで吉祥寺まで来てしまったが、そういえば今夜の夕食についてはノー・プランだった。
久しぶりの楽しい買い物に興奮しちゃったせいもあり、実はあまり腹も減っていないんだが。
いずれにしても帰り道、中野で乗り換える羽目になったので、そのまま改札を出てみた。
10年くらい前には、実は区役所で働いていたことがある(もちろん公務員ではない)。
しかし北口駅前の変貌ぶりは、もはやそこに何がどうあったのかさえ思い出せない。
サンモールに入るとその風情と賑わいは変わっていなかったのでなんだかほっとしたが、人ひとりがやっと通れる脇道地下にあった、当時仕事の山を越えたときなどの節目に上司やスタッフたちと食事に行っていた隠れ家的な創作料理のお店は、ラーメン屋になってしまっていた。
実は数年前にも別の仕事で近くに立ち寄った際、区役所内の元仕事場辺りがどうなっているか見に寄ったことがある。俺たちの働いていた窓口と、その向かいにはカウンターだけの喫茶・昼食スペースがあり、向かい合ったご縁で運営していた母子がコーヒーを振舞ってくださったり、ちょっとした手作りのお菓子をわけてくださったり、大変よくしてくれたものだが…あわよくばあの昼定食をもう一度、という俺の期待はみごとに打ち砕かれて、区画一帯、大手コンビニチェーン店に大変貌してしまっていた。
あのおふたりは、今頃どこでどうしているんだろう…。
どうも中野という街は、こうして訪ねていく度に、思い出が失望に変わるようで…。
新宿の文化圏内なのか、街の変化が思いのほか大きくて速いみたいだ。

閑話休題
食欲のなさも手伝って今夜の俺の夕食気分は麺だったので、いっそリンガーハットにでも、と思っていたところ、「わし屋」の看板が目に入った。
そっか、この手があった!
閉店間際の店にそのまま吸い込まれた。おこわのおいしい惣菜屋で、大学生時代も通学路だったので、以来よくお世話になっていた。
結局、この個人的にとても懐かしいおこわをメイン・ディッシュ(笑)にすることにして、ワンコインでお弁当を買って、ホームのベンチで済ますことにした。
蜆と山菜がふんだんに入ったおこわは大変おいしかったのだが、それだけに、却ってなんだか、ちょっと物悲しい気分…。
(井の○五郎さんっぽい文章にしてみようと思ったのだが、狙い通りにいかんもんだなぁ)

*1:偏見を承知でいうと、これも女性の職場の特性じゃないかと思わされる経験になってしまった。

*2:仕事は激変「ご予約済み」なことが今日の職場であったのだが、それについては項を改める