階段途中のビッグ・ノイズ

f:id:oku_anijin0406:20201018211015j:plain
こらこら、世界中のドラマーに謝りなさい(笑)…1巻の帯より。


というわけで私事ですが、また爆音志向に戻りつつあります(笑)。
まるで高校生みたいだな、俺(高校時代の同級生にはもう孫が…遠い目)。

当初1巻だけ買って試し読み。
思った通り「あたり!」なバンド青春ものだったので、翌日には前のめりになって(?)2~4巻全てを買いに走った。
いつの間にか部室がなくなり、屋上に抜ける階段に追いやられていた弱小「軽音部」再建の物語(あれ?)。こちらの部員は全員、男子。
自分の高校時代の非合法組織、「男声合唱愛好会」の頃を重ね合わせながら読んでいる。
こちらはさしずめ、「渡り廊下の産声」くらいなものだったが。
一日1冊ずつ、読了を惜しみつつ読んでいたが、あっという間に最終4巻まで来てしまった…あぁ、読み終わってしまう。
原作(小説)買ってこよ。
なんだか久しぶりに、母校にも足を運びたくなってしまったな。
俺の記憶の中の校舎はとっくに建て替えられていて、全く残ってないが。

その最終4巻は紛れもなく、期待以上のクライマックスなわけだが、3巻での話の展開が俺にとっては全編「神回」。
その名セリフの数々。

楽しむことを忘れたバンドがどうして
人を楽しませることができるというんだ

ホントこれだよね。
多分、人前で一度でも演奏したことがあるすべての人が、「あるある」って共感できるエピソード。

「言ってやれー 負けんなー」
大野さん(主人公意中の女性)からの激励シーン。
それまで無言ながらにちゃんとその活動を人知れず見守ってくれていた「仲間たち」が、こうして次々と名乗りをあげる中で
やっと開くことができた屋上への鉄扉。
その向こうに広がる青い空、高らかに演奏されるオフスプリング「オール・アイ・ウォント」

ここから思い切り歌えば
俺の声は
解き放たれた
ドアの向こう
プールサイドの森(先生)の耳にまで届くのだろうか

俺も演奏はハコでのライブよりも、青天井な屋外イベントでの方が好きだったな。
ハコライブは空間の閉塞感以前に、準備段階から何かと調整や決まり事が多くて。
あの解放感は、何度演奏しても飽きることがないし、ここにはいない「誰か」に、自分の声が届くような気がしたものだ。

万難を排してようやくたどり着いた、初ライブ前。

たまに
いや
しょっちゅう想像するんだ
自分が『田高マニア』(高校の文化祭)で演奏してるとこ
講堂が半分以上も埋まってて
俺たちの演奏でみんなが揺れている

思えばこういう、客席との一体感のある「熱狂」ステージがやりたくて、合唱からアカペラに転向したんだった、俺は。

そして迎えた初ライブ当日(の4巻)。
ドキドキの1曲目はクイーン「ウィ・ウィル・ロック・ユー」。
今や誰もが知ってるこの名曲が本当に絵から聞こえてくるようで、圧巻。
絵の迫力につれて得体のしれない感情が一気に押し寄せてきて、目頭が熱くなってしまった。

ステージ上での、吹奏楽部から転向してきたドラマー・徹のモノローグ。

長谷川さん、見てる?
俺はここにいるよ
『田高マニア』でドラム叩いてるよ
…とんでもないとこだったよ ここ
ちょっとこわいくらい

スティーブ・ガッドがドラム教則DVDの中で、「ここ(ステージ上)は、とても怖い所だぞ」と呟いていたのとニュアンスはかなり異なるものの、俺の中では重なる気がした。

こういうステキな物語にからめてもらえると、邦楽と違って「無限の荒野」である洋楽に、俺のような無知な人間でもすっと入っていきやすいんだよな。
ビッグネームなアーチストになればなるほど、いつ頃のどのアルバムから聞くかで好きになったり嫌いになっちゃったりするから、そもそも作者がファンであるところの、お勧めの曲から、という点でもハズレを引く確率が下がるし。というのが少なくともこれまでの俺の、経験則。
というわけで掲載されている曲たちがどうしても聴きたくなってしまい、『さよならピアノソナタ』のとき同様、またCDが徐々に増えている。
両作品とも取り上げられている音楽の年代・ジャンルに偶然の重なり(世代?)を感じるのだが、つまりはある種の「偏り」(パンク・ロック偏重?)もあるようなので、この辺はちゃんと勉強しなきゃだな俺。
ひとことでロックっていっても様々なジャンルがあることは何となく知ってはいたが、それぞれについてはこれまで、「売り手側の都合」くらいにしか思っていなかったので、実はこれまで全く不勉強で。

全くの余談だが、音楽をテーマにした両作品、これだけの「名作」が残念ながら映画化できないのは、どうやら著作権料のハードルの問題らしい。
というわけで入手しやすかったものから、参考音源。

イクスネイ・オン・ジ・オンブレ

イクスネイ・オン・ジ・オンブレ

International Superhits

International Superhits

  • アーティスト:Green Day
  • 発売日: 2001/11/09
  • メディア: CD
美しき生命

美しき生命

RAMONES

RAMONES

  • アーティスト:RAMONES
  • 発売日: 2016/09/09
  • メディア: CD