渡良瀬渓谷へ。

祝日出勤してまで死守した平日休み。なんとしても紅葉。

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のっけからアタリ(?)…リバイバルカラー車(実はあまり似合ってる気がしないけど)。
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こちらはすっかり新車に置き換わってた、わたらせ渓谷鉄道
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全長が伸びて、シートも通勤電車然としたものに…やや味気なし。

直近で同じコースを歩いた2019年よりも丁度1週間早く訪れているわけだが、昨今大変ご親切な天気予報によると、今年の紅葉前線は昨年より1週間ほど早かったそうで、つまりは2019年当時と同じ…プラマイゼロ。
辛うじて廃線跡の中腹あたり、日当たりのいい沢伝いに一部見事な紅葉が残っていたのも、2019年と同じ状況だった。

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神戸(ごうど)駅、着。
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ん~~!(空、広い)

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この廃線跡のクライマックス、琴平隧道。
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反対側の坑道から、神戸駅方向。

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「幻の線路」が、現れた!

さて我々は今日という平日休みを有効活用すべく、あの魔境と呼ばれる「グンマー」への潜入を試みたわけだったが…なんとかこうして無事、本日中に生還することに成功した。
しかし現地人と円滑なコミュニケーションを取ることに関しては、まだまだ俺には修行が足らないようだ。
神戸(ごうど)駅のレストラン「清流」で昼食。
今日はがっつり、ちょっと贅沢気分で「舞茸ごはん定食」にしてみた(…後刻、油で胃もたれ)。
前の席では颯爽とした(?)ひとり旅のお姉さんが先ほど、俺の直前で注文していた「やまと豚弁当」(!)で同じく昼食中。
店内で食べる場合は味噌汁付きになって¥100加算のシステムらしい。
「トロッコ弁当」はカウンターに持ち帰り用が積んであるのを見かけていたが、まさかそんな手が…。
てっきり持ち帰りか事前予約のみの販売だと思っていた。
しょっぱなで地元ツウの矜持をくじかれた(笑)ので、ちょっとくやしくもあり、とはいえ今購入して持って歩くのも何だったので、帰りに寄れたら東武特急車内での夕食(というか祝杯のツマミ)に供するのはさぞかし、ということで
「今日の閉店は何時ですか」
と訊ねたところ、オバサンふたり
「12月の、いつまでだっけねぇ~年内営業」
…???
紅葉シーズンはそういうわけですっかり一段落していたが、先ほども同じ列車から下車した人たちが一斉に押しかけたオーダーを捌ききるのに、かなりの時間を要していたこのおふたり、要領があまりいい感じの人たちではなさそうで。
そんな中で恐らくはもう何年も、理不尽な観光客の注文も受けてきたのだろう、カウンターに背を向けた立ち位置もいたって自然なら、会話もフェードアウトする術を身につけられておられるようだ*1

早々に俺との会話にも見切りをつけられちゃったらしいので、俺の方も見切りをつけて、弁当未入手の件は大変残念ではあるが、草木ダムに向けて歩き出すことにした。
まぁまた帰りの赤城駅近くのスーパーで、缶ビールと一緒に似たような弁当を(観光地価格でなく)買うだけのことだ。
俺もすっかりこの辺りに詳しくなってしまったもので。

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シルエット。

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わらべ橋からの眺め。
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根のうろに落ちたどんぐりからは、早くも芽が。
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草木ダムを、つづら折りで登る。
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中腹の展望ひろばにて。

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しかし、今日も誰にも会わなかったなこの道。

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国道122号線に出たところからの眺め。
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青く冷たい水をたたえた草木湖まで登ると、すっかり冬枯れ。

日に3本しかないバスで、(神戸へは戻らずに)ひと駅先の沢入(そうり)駅へ抜けた。
バスには俺ひとりしか乗っておらず、途中の乗り降りもなかった。

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両側のもみの木が、チャームポイントな駅。

「駅舎」といっても無人駅で改札口はなく、ホームへの出入りは建物両脇の柵の隙間からご自由に…のスタイル。建物自体は郵便局として使われている。

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構内、ひときわ赤い樹。
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有形文化財に指定されている待合室。

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沢入駅-神戸駅間は草木ダムの建設に伴って従来線は水没*2、新線に切り替えられており、5km以上ほぼトンネルで楽しめる車窓はない。神戸駅からは先ほど来た道を折り返す。
後で気づいたが、この時間帯だったらまだ水沼駅で途中下車して温泉入れたなー*3。割と寒くなってきたので、さっさと山を降りてきてしまったが。
帰りはわたらせ渓谷鉄道の車庫と本社もある大間々駅で途中下車、東武鉄道と上毛鉄道が乗り入れる赤城駅までは徒歩で約20分の散歩。
この街も、古くて興味深いものがたくさん残っているようで、いずれ昼間にちゃんと訪れたいが、いろいろ欲張るとやっぱり泊まりでないと難しいか。
大間々駅では、乗ってきたディーゼルカーの後ろにもう1両連結していた(この先折り返しとなる桐生駅から、下校学生が大量に乗ってきたりするのだろうか)。
video.fc2.com

▼その側線に控えていた車両

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ヘッドマークの作成・掲出のサービス、好評です(これはお誕生日?)。

www.nikkei.com
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俺としては遠出だったこともあり、このまま手ぶらで帰るのも何だか、と思ったので、ずっと道中、土産物屋を探しているのだが。
周囲がすっかり暗くなってから辿り着いた赤城駅、恐らく俺が知る限りはここが「最後の砦」…このまま特急に乗ってしまえばもう、東京へ連れていかれるだけになってしまう。
しかし、今日に限って休業の貼り紙があってシャッターが閉まっていた。

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あうっ…。

向い側の待合室は公民館にあるようなガラスケースのディスプレイに囲まれてて、市内名産品が飾られている*4のに、この「最後の砦」にしてもまぁ元々、「キオスク」に毛が生えた程度の規模だしな。

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井の頭線!…から上毛鉄道に流れ着きました。

万策尽きたので土産物は諦めて、その赤城駅の窓口で、取り急ぎ帰りの特急券を抑えておく。
まぁ平日の上りだから、すでに満席ということもないだろう。
すっかり「車中の人」となってからは、想定通り隣席が埋まるほど人が乗ってこないのに気をよくして、缶ビールに弁当、ヘッドフォンステレオをテーブルの上に広げてしまってから、途中駅から乗ってこられたスーツ姿のオジサンに声をかけられた。
「席をお間違えじゃないですか?」
互いに手元の切符を見せ合ってみるが、席番号は全く同じ、今どきまさかの重複発券?
先に俺がすっかりくつろいでしまっている様子を目にして、
「まぁいいじゃないですか、車掌が来たら申告しましょう」
とガラガラな車中でお気遣いいただき、他の席に移ってくださった。
…車掌、こういうときに限って(北千住まで)一度も姿を現さず。
いつ車掌に叩き起こされるかと思うと、いつものように気持ちよく酔いに任せて眠るということもできないまま、下車駅の北千住に着いてしまった。
とっくにオジサン下車されてから、改めて自分の切符をしげしげと眺めてみたところ…グンマーとの間には、日付変更線があったようだ。
そして明日、この席にはきっと俺の魂が、北千住に向かって乗っていることだろう(^o^;
ちなみに赤城駅の窓口で俺は
「次の特急、北千住まで1枚」
としか言っていない、断じて(乗車日を勘違いされる要素はないように思われる)。
やはり現地人と円滑なコミュニケーションを取ることに関して、俺にはまだ修行が足らなかったようだ。

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間違い探し!
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もうクリスマス(改札脇)。
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その、リバティりょうもう号。

18時発は新型特急「リバティ」型…どうも好きくないんだよね。
多少古臭く見えてもやっぱり「特急型」はわかりやすい流線形でないと(そういう俺が古い人間?)。
というか沿線に住んでいないせいかも知れないが、「りょうもう」号は全然、見飽きないんだけど。
期待していた乗り心地も、高速になるとなんだかプルプル揺れる感じがする。車体が軽すぎるのか、ダンパーの調整が難しいのか…従来の「りょうもう号」の滑るような走行感とはかなり違う。
元々今の「りょうもう」号の色に揃えたものだったはずの赤と黒の、伊勢崎線(系統)のラインカラーや各駅の駅名票は今後、どういう扱いになるのだろうか、リバティに本格的に置き換えていくとなると。
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話を土産に戻すが、栃木県との県境だからなのか、「お土産といったらコレ」というものが未だない、よくいえば「群雄割拠」状態。なんと日光土産を平気で売ってたりもする。
佐世保バーガー」じゃないが、まず何か地域で名物を一本化できれば、それを梃子にして新たな展開があるのかも知れないが、これも商店それぞれの思惑というのが当然あるので、現状なかなか難しいのだろう。
ようやく紅葉シーズンでの観光業がそれなりの「産業」規模にまで育った、ということなのか、メジャーな観光地にならどこにでもあるような集約型の土産物販売拠点が(少なくともこの行程の間に)見当たらない。
草木湖のドライブインには、みどり市公認名産品のリーフレットが置いてあったので、参考までに手にしてみたのだが、肝心の掲載商品はなぜかひとつも店内には見当たらなかった。
「名品」は紹介されているのに、あくまでも「営業時間内に直接、各店舗までお越しください」という旧来システムのままになっているらしく、販路がないのだ。
わたらせ渓谷鉄道としては、神戸駅のレストラン「清流」や、大間々駅の鉄道グッズ売店にそれなりにスペースを設けてはいるが、東武線との乗り換え駅である相老駅は無理にしても、観光客の流れが必ず通るポイントのどこかに、何かそういったワンストップ・サービスの拠点を設置してみてはどうかと思う。
新たに店舗を構えるほどの設備投資が難しければ、長野駅前の東急デパートの事例のように、「地元」名産品コーナーを近所のスーパーに常設することなども一考だろう。
いっそ販売は、こうした「バイヤー」に委ねてしまった方が、(観光客に対しても)何が売れるか、という「目が利く」ことだろうし。
…結局何も買わずに帰ってきました。

*1:接客業としてはどうかとは思うが

*2:先ほど歩いてきた遊歩道が、水没を免れた旧線区間

*3:駅に併設されています、温泉

*4:御多分に漏れず埃色だが