ゆらゆら橋。

八千代新川のこいのぼりを見に出かける。このGW中で俺にとっては一番デカい、予定らしい予定だ。
スネアは無理でも、ドラム練習パッドくらいは持って行ってみようかとも思ったのだが、割と結構な距離を歩くことになるので、あっさり断念。HSP気質な俺が、日頃見慣れない景色を前に落ち着いて練習なんかできるわけもない。

往路はあっさりと全行程歩くのをやめて、勝田台駅からバスにした。
駅前はビル風が強かったせいか、バス停で時刻表を覗き込んだらすぐ脇の電話ボックスから母子が出てきた。どうやら電話をかけていたのではなくて、単に強風から避難していただけらしい。俺の後ろに並びながらも、お坊ちゃまの方はバス待ち「2番手」になってしまったことに明らかに不満なご様子。
俺もなんだか気分が悪いので(知らんがな)、いっそフルルガーデンまでなら歩いてしまおうか、と駅へ踵を返したところ、丁度折り返しのバスが駅へ入ってきたのが見えた。
くまざわ書店」の看板が目ったので、そういえばリブレ(駅前のスーパー)に入っていたな、と3階へ。『響け! ユーフォニアム』の劇場版4作目は、あの京アニでの事件を挟んで製作進捗の公式リリースがないまま、もう2年にもなるだろうか。いい機会なので原作の方に先に目を通しておくか、と思い上巻を買い求めてから結局バス停に戻った。
バス待ちの顔ぶれが恐らく全て入れ替わった、1本後発のバスで、懐かしのフルルガーデンへと向かう。

数年ぶりに訪ねると、さすがに橋の順番が記憶と違ってたりして、俺は東葉高速線の高架橋が一番奥だったように思いこんでいたのだが、目指すゆらゆら橋が一番上流側だった。

ヨーカドー前バス停で下車。
数々の吹奏楽演奏に足を運んだフルルガーデンは、残ったヨーカドー棟の方に全てのテナントを移し、思い出の専門店街棟は無残な姿に変わり果てていた。心がチクリとする光景。

バス停目の前にある厳島神社から八千代新川に足を向ける。川沿いの児童公園からずっと左岸を遡っていくつもりだったが、傷みが激しい歩道はその先で通行止めになっていた。

歩行者専用のなかよし橋で右岸に渡り直すと、こちらの川岸にはほどよく木陰がある。思い思いの過ごし方をしている人たちの姿に交じって、綱渡りの練習?! をしている方を見かけたり、様々なスケール(音階)の練習をしているアルトサックスの音、その先にはイヤフォンで聞く曲に合わせて主旋律を吹くトランペット、いずれも学生には見えない男性で、近所のバンドの方だろうか。

シャープな造りの、なかよし橋。
昆虫を模したタイルが楽しい。


辿り着いたゆらゆら橋の右岸では、以前訪れた際にはいい感じの林になっていた一角が緑のネットで囲われており、すでに更地になっていた。

高い建物が少なく開放感のあったこの界隈だったが、次に訪れるときには高層マンションでも建っているのだろうか。

雄大に空を泳ぐたくさんのこいのぼりを見ながらの缶ビールは、最高!
よく見ると数匹のうなぎが混じっているのは、成田が近いことによる洒落? も効いている。子どもたちが発見して、喜んでいた。

うなぎのぼりっ?!

しかし今日はとにかく風が強くて、先ほどフルルガーデンで買ってきた酒肴が気をつけていないと飛ばされてしまう。
こいのぼりも1匹、この強風に煽られて飛んで行ってしまい、向こう岸で拾ったご家族がどうしたものかと思案している。


俺もせっかく持ってるんだから、キャンプ用の折り畳み椅子くらいは持ってくればよかったよ。

小一時間ほど雄大な光景を楽しんで、14時過ぎに移動。帰りは京成大和田駅まで、これも俺にとっては思い出の道を歩くことにした。
スポーツ総合公園を抜けて、八千代市市民会館の前を通る。

ここもかつて、いくつかの高校の吹奏楽部の定期演奏会に足を運んだ場所。
あの頃の俺を演奏で楽しませてくれたメンバーたちは、そろそろ大学も卒業だろうか?
コロナ禍が長引いてしまい、その大部分が思い描く学生生活を送れない日々だったんじゃないだろうかと想像すると、胸が痛い。

日焼けが痛くなってきて思い出したが、毎年のように日に焼けて帰ってきていたFAN(名古屋の屋外アカペライベント)、今年は8(日)に開催する運びのようだ。
10月の「秋FAN」に出演させていただいたのは2015年。
「必ずまた、ここで逢いましょう」などと出任せ言ってたのが、俺としてはFANに関わらせていただいた最後になったわけか。
…もう演奏者として名古屋まで行くことも、ないだろう。
今の暮らし向きが続く限り、到底行けそうにない。「各駅停車名古屋までの旅」も、体力的にさすがに無理そうだ。
悪酔いしてるなどうやら。

京成大和田駅のミニチュア、これがなかなか。

夜、実家に電話を入れる。
父がこの週末、検査入院だと妹から伝え聞いていた。
しかしいつも通り、父は俺と電話口ではほとんど自分の話をしないまま、すぐ母に代わられてしまった。