空き缶、河津桜、春一番。

10時起床。
今日は風が強くなるが気温は高い一日になりそう。
駅で偶然見かけた八千代新川の河津桜ライトアップのポスター写真。葉脈のように暗闇に浮かび上がる河津桜のシルエット、その幻想的な光景にすっかりやられてしまい、長引く自粛生活に感情なんかとっくに涸れたと思い込んでいたが、本当に久しぶりに、この光景を自分でカメラに収めたいと思えた。
最終日となる明日は再び寒波襲来とのことなので、行くつもりなら今日がラストチャンスだ。
…しかしこれ、土地勘の全くない俺が暗くなってから現地に行っても大丈夫なのか?
本当にこんなにロマンチックな光景が広がるのなら、尚のこと独りで行く場所でもないのでは?(といって誘える友だちも今やひとりもいないんだが)


昨夜から、アパート廊下に空き缶の転がる音が止まらない。
てっきり商店街の「工作部隊」がまた、駐車場あたりで工事でも始めたのかと思っていたら、隣部屋のベランダからこの強風で廊下に転がり出てしまった空き缶が多数、廊下角の排水管下に集まってしまい、強風に煽られてカウベルよろしく、時折騒々しい音を立てていた。
「向井(仮)」ぃっ!
新しい住人は、片付けのできない奴らしい。
考えあぐねたあげく、その場はそのままにしておいた。
どこでどう遊びまわっていたのか存じ上げないが、昨夜は23時ごろにご帰宅。目に入らないことはないと思うのだが放置あそばされたようだ。
アタマに来たので、今朝になってドア前に空き缶数個、立てて置いといてやった。

日が長くなってきたここ最近ではまだ明るい16時半、意を決して下り電車に乗って勝田台へ。
勝田台駅からはバスで北へ向かうのだが、バス乗り場は商店街があって広いバスロータリーのある、駅の南口から出る。
バス待ちの列に加わってふと駅の方を見ると、ブラック企業勤めの間に何度か通ったことのある1000円カットの看板。
12月に床屋に行って以来、コロナ感染第6~7波を避けて行かずにいたのだが、さすがに限界だ。
見れば小規模な店内は換気状態もよさそうだし、バス待ちの間にさくっと寄っていくことにした。

頭髪がすっきりしたので身軽な気分になり、再びバス待ちの列へ。
それでも15分に1本運行と、この辺りでは利用者の多い路線らしい。
それもそのはず、沿線には八千代東高校の他、いずれも吹奏楽で有名な*1千葉英和高校と八千代松陰高校がある。
コロナ禍に入る前に通った定期演奏会やショッピングモールでの「名演」を思い出しては、各楽器で目立っていた何人かの顔を思う浮かべて、彼らもこの同じ光景を目にしながら(恐らくは学バスだっただろうけれど)3年間、通っていたんだろうか、などちょっと感傷的で甘酸っぱい気持ちになってしまった。
他人の「青春テリトリー」にお邪魔して恐縮する気分と自身の高校通学時の光景を重ねて眺めていた。

バスはさすがに休日ダイヤで夕方だし、学生の姿は全くなく、車内はガラガラで、駅からは俺を含めて5人ほどしか乗っていなかった。休日の大型バスはその巨体を持て余しぎみにも思えた。
京成線をオーバーパスするあたりで丁度、見事な夕日。

路線管轄の東洋バス「新山営業所」は、その千葉英和高校前バス停に巨大なバス営業所があった(入出庫系統だったのか)。
「東洋自動車教習所」が隣接していて、こちらの方は何度か広告で見たことがある。どうやら同じ資本だったらしい。
その先、リハビリテーション病院バス停から東に1本入ったところには八千代市阿蘇小学校(3月末で廃校)がある。先日偶然耳にしたラジオ番組で紹介されていたが、校庭の大きくなった欅の木が、この学校のシンボルとして見事なものだそうだ。
何度か利用したことのあるジョイフル誉田は一日中居ても飽きそうにない巨大なホームセンターだし、少し先には郷土博物館もあってこの界隈、改めてじっくり散策してみたい欲求に駆られる(東洋バスにはフリー切符とか、ないのかな?)。

バスは途中で国道16号を外れて、裏道に入るのではないかと思っていたが、何の工夫もなく(?)さながら高速バスのように片側2車線の道路を一直線に北上。20分ほどで終点、米本(よなもと)団地に着いてしまった。
反対車線はかなり渋滞していたので、帰りは相当時間がかかるかもと覚悟していたのだが、時間帯がずれたせいか杞憂。帰りも至極順調に帰ってこれた。
右折して少し坂を上がると団地に隣接した折り返し場があり、そこには別系統のバスが消灯して折り返し時刻を待っている。
団地はかつてどこにでも見られた、昭和40年代頃の造りで、要は以前の実家と同じ。
俺自身、千葉で新居を決めざるを得なくなった10年前には、実家と同じノリで「駅からバス20分」くらいまではアリだろうと考えていて、この団地も転居先候補のひとつとして検討していた。
なにせ当時は、会社からの家賃補助制度があったし、「2人暮らし」も視野に入れてたからなぁ…。

そのバス折り返し場から国道16号へ戻り、さらに5分ほど歩くと新川を超える場所にあるのが八千代橋。
そこから500mほど橋の右手、左岸上流側へ、すでにライトアップされた河津桜の並木が続いていた。
一輪も咲いていない桜の木の下を、家族連れが行き交っていたが…俺の目的はさらに人の少ない、街灯も一切なく暗い対岸(懐中電灯くらいは持ってくるべきだったか…夜景の撮影、久しぶりだったので)。
少し上流側に行く頃には陽もあっという間に沈み、丁度対岸で桜並木が途切れる辺りに水管橋があって、これをモチーフに据えて数カット撮影を楽しんだ。

撮影を終えて八千代橋のたもとに戻ると、国道を渡った先にあるのが「道の駅やちよ」。
今はコロナ時短で、売店も食堂も16時には閉店してしまうが、トイレは24時間使えるとHPにあったのでお借りすることに。
意外なことには焼きそばと焼き鳥の屋台(公式?)が出ていて、閉館後なのに人で賑わっていた。
入り口にある液晶テレビ画面では丁度、関東地方のニュースが流れていて、今日のこの強風は関東地方で「春一番」として観測されたことを伝えていた。
画面が切り替わって、ロシアのウクライナ侵攻に対する国内デモのニュースのすぐ下の画面で、満開の河津桜(ドローン撮影)は昨年の動画だろうか…このギャップには、俺のメンタルがやられそうだ。
動画に八千代橋からは1kmほど上流にある「逆水橋周辺」とのキャプションがあったが、対岸にも見事に満開の桜並木が写っていたので、もしかしたら2019年台風被害の前の記録映像だったかも知れない。

大幅に遅れている開花状況を考慮してか、この3連休(3/19~21)にもライトアップされることが急遽、決定されたようだ。

*1:あくまでも俺の中で