静寂。

夏休みに入ったせいか、急に静かな日曜の朝。
両隣の部屋から生活音はなく、エアコンの低く唸る音だけが、あけ放った窓の外から聞こえる。
近所のビル解体工事が休工日なせいだろうか。そういえば蝉が鳴いてない。

さすがに身体が夏モードに切り替わったので、室温29度でも、風が入ってくる今朝はエアコンをつけなくても俺には充分涼しい。
何もしていなくても、わざわざどこかに出かけなくとも、これぞ夏! っていう空気感。
冷えた畳にいつまで横になっていても、誰にたたき起こされることもない。
こういうとき、独り暮らしは最高だ。

風を通すためにいつものように玄関ドアを開けると、商店街はまだ10時前ということもあり、人通りがない。
すでに開店している床屋にも待ち列が見えないのは珍しい。
やっぱり感染者数急増の影響だろうか。
なんだか不気味に感じ始めた静けさのなか、救急車が1台、けたたましく通り過ぎて行った。
ああ、車道から車の音がしてなかったのか。
10時を回ると一気に車通りが増えてきた。