違うそうじゃない。

コロナ感染第7波は、明日から1週間夏季休業に入るというタイミングで、我が社にも降りかかってきた。
隣の部署の、一番奥の席。
つまり俺の部署の一番奥、手洗い前の俺の席からは一番遠い場所で、今回の陽性者第一号は出た。
チームで動いていたもうひとりも濃厚接触者ということで欠勤している。
ひとり残されたスタッフ、アサシオ(仮)は朝からすっかりテンパってて、そらそーだろ、同じ部署とはいえ担当外の仕事までが一気に降りかかってきちゃったんだから。

先週に続いて今日も経営会議は行われなかったが、社長は昼過ぎには顔を出した(らしい…相変わらず現場には一度も顔を出さないので)。
その社長からはウチの上司に内線電話(!)があり、ひとしきり事態の情報共有をした上司、
「今日はもう仕事ないので、これで帰ります」
と社長に告げる。
昼休を挟んで14時前には、事務所を出られた。
事実上前回の「緊急事態宣言」時と、社内状況的に変わりがなくなったし、明日からは1週間の夏季休業だ。
「ふたりも、別に急ぎの仕事がなかったら、定時まで残ってないで帰ってしまってかまわないから(体力温存しとけ)」
との配慮をいただく。

腰掛妖怪は以前俺が手放した伝票照合の仕事をやっていたようだったが、たったこれだけのことに相変わらず時間がかかりすぎている。
隣で目に入るとついイライラしてしまい、こちらのペースまでが乱れる。
それもひと通り終わったのか、退勤時間までの1時間ほどは(いつものように)、ネットサーフィンを始めた様子。
実は我が社、出退勤管理は古色然としたタイムカード管理のままで、明日からの夏季休業中に給与締め日があるので、今日の退勤時までに次月分を作って差し替えておかねばならない。そして現在の担当者は腰掛妖怪。

これについては「全科」があって、数か月前の給与締め日の翌朝、俺が出勤すると全員のタイムカードが差し替わっていなかった。
俺の机上には腰掛妖怪の字で「よろしくお願いします」のメモを添えて真っ白なままのタイムカードの束。
幸い早朝出勤だったこともあったが、全てのスタッフが出勤してくる前に慌てて全員分のタイムカードを俺が作って差し替えて回ったというちょっとした騒動があったのだ。翌日顔を合わせた腰掛妖怪、全く悪びれる様子もなく、「帰るときになって、忘れてたの思い出しちゃって」…だったら残業してでもやってけよ。お前の仕事だろーが。
今日もタイムカード作成の件はやっぱり思い至ってないようで、この段階ではコイツが退勤した後、俺の定時退勤までの1時間でまた、俺がやるしかなかろう、と密かに腹を括っていた。
そして俺のこの想像通りの事態になったとしたら、もう二度とこの仕事にヤツの手を触れさせないつもりでいた。

…のだが。
退勤10分前になって突如思い出したらしく、何やらひとりで盛り上がっている。
いやいや。
自分の任されている仕事とその段取りくらい(「その日暮らし」じゃなく)、ちゃんとスケジュールに入れとけって。
俺への問いかけがあったわけでも、相談されたわけでもなかったので、一言も反応しないでいたら、程なく勝手にヒートアップし始めた。
ちゃんと退勤前に思い出したこと、いいトシして俺に褒めてでも欲しかったのか?
もしかして
「あ、いいよいいよ。あと俺がやっとくから」
くらいのこと、言ってもらえるとでも?

一気に場の空気が「八つ当たり」的な感じになったので、俺は先ほどの上司のお言葉を言質に、逆に1時間ほど早くアガる決意を固めた。
自分がかように仕事ができないことの苛立ちを、他人にぶつけないでいただきたいものだ。
湯沸かしポットの
「(電源と水を)抜いときますよ」
との俺からの呼びかけには、あと1時間残っているはずの俺がにわかに帰り支度を始めたもんだから、さすがに取り乱したのか、
「阿仁さんの(タイムカード)、入り口のところに置いときますから!」
と吐き捨てるように言うから、
いや、俺の机の上に置いといてくれればいいから
ということばで打ち返した勢いで、事務所を出ることに成功した…クワバラクワバラ。
「じゃ、お先に失礼します」
(さすがに返答はなかった)

長期休みを前に「気分るんるん」になれるのは、ちゃんと抱えた仕事を期限内に片付けてきた人だけの特権、ということで。
その「気分るんるん」な俺は、いつもより早くにショッピングモール・南船橋のVivitに寄り道することができて、この休暇中に読むための本を数冊、平日夜で人が少ない巨大書店の中でいつもよりもゆったり探して買うことができましたとさ。
そのVivitの営業時間なんだが。
これまでコロナ自粛の一環で平日20:00閉館だったのが、この6(土)からようやく1時間延長、21:00閉館になった。
さすがに東京の職場から遠路帰ってくると、20時閉館では辿り着いた途端に追い出されてしまい、このところろくに買い物ができなかったので、ありがたい。
週末夜だけがずっと21時まで営業になっているが、これはむしろコロナ禍において忌避されるべき「三密」状態が館内のそこここで引き起こされている可能性が高く…この営業方針は本末転倒じゃなかろうか。
実際の売り上げを存じ上げないのだけど、平日夜の方が俺のように館内が空いているのを見越してわざわざ仕事帰りに足を運びたい人もそれなりにいるんじゃないかと、勝手に思っている。

後日談。
どうやら16日までの(実験的?)期間限定延長だったようで、感染第7波の拡大に伴って、俺自身の在宅療養が明けた平日夜に立ち寄ろうとしたら、再び20時閉館体制に戻されていた。

…は~い!
腰掛妖怪とのこういった「冷戦」を交えた日の夜には、なぜか便秘しちゃうんだよ俺。