さよならの、アカペラ。

気持ちの整理がついていないせいか、例によって長い文章になってしまい、書いている本人にも終わりが見えない堂々巡り、一向に要領を得ない文章を一旦全て捨てて、オブラートも忖度もなく、要点だけ。

現役時代に大変お世話になった大先輩バンドが先日横浜で、「復活の狼煙」を上げた。
ほぼ4年ぶり(というのが巷間すっかり慣用句になってしまった)に、主催ライブを実施したのだ。
予想通り、即日完売。
実はこの時点では、熱烈なファンを押しのけてまで聴きに行こうというほどの熱意はなかった。
今日21日には、これも「4年ぶり」となる、東海地区の屋外イベントに出演することが事前にアナウンスされていた。
無料の屋外イベントなら、という気安さと、往復の交通費(但し新幹線を使わない前提で)をさくっと計算してみたら、横浜でのライブのチャージ代設定(でも私にとっては決して気軽に行けるような金額ではなかったが)とほぼ同額で、これなら行けるじゃん、って気持ちになった根拠我ながら不明。

その先輩バンド、例年通りメンバーの自家用車に「パリピ・セット」(笑)を積み込んで現地入りし、
「おそらく出番終わった昼過ぎから、客席後方で宴会しています。乱入歓迎」
と公言なさっている(バンドFBより)。
こんな圧倒的な光景を目にすれば、さすがに俺も、未練がなくなって「次」に進めるのではないかと思っていた。
いったいどこで、間違えてしまったのだろう。
どうしてあそこにいるのは俺じゃないんだろう。
ついそんなどす黒いことを考えてしまう。
今からどんなに努力したところで、同じようなことどころかこの先、子や孫や、気心知れた友人たちに囲まれて、こういう幸せな光景の中で音楽活動をできる気がしない(嫁候補すら現れないうちに、すっかり異性に相手にされない年齢になってしまった)。

そんな後ろ向きな心持ちで、以前のような楽しい気持ちで会場に足を運べるわけもなく迎えた当日朝…あぁ、寝坊しましたよ!
起床11時(7:30には電車に乗っていなければ間に合わない)。
ほんとーに、しょーもなぃ。
まだ寝ぼけている頭に、いろんな感情が一気に押し寄せてきた。

部屋に散らばっている、昨夜の遠出準備の「跡」。
長い道中での非常食代わりに買っておいた駄菓子類。
退屈しのぎに買っといた文庫本。
ポットは久し振りに洗ってあるし。
マスクも予備を補充しておいた。
収録曲を大幅に入れ替えたWalkman
満充電にしておいたデジカメ、予備バッテリー、携帯電話。
昨夜は散髪も済ませた。
ここまで周到に事前準備しといて、結局足が向かなかったのも生まれて初めてだ。

思うに、退屈な日常に気持ち盛り上がれるイベントのひとつでも欲しかっただけだったんだ。
現地でうっかり、数少ない知り合いから声でもかけられようものなら、なにが噴き出していたか自分自身わかったもんじゃない。
そういう意味では、行かなくてよかったのだろう。お互いに不愉快な思いをしなくて済んだ。
そもそもこんな晴れやかな同窓会みたいな場所に顔を出そうと思ったのが、俺の気の迷いだったに違いない。
これからはひとりで生きるって、決めたのに。

飛沫を浴びるのも、浴びせるのももう嫌なので。

生活に余裕のある奴らだけで、これからも末永く楽しんでくれ。

こういう別れ方も、あったんだな。
さようなら。多分もう二度と足を運ぶこともない。