宿主。

自然界の奥深く、蝙蝠にひっついて共存しながら、宿主の蝙蝠を傷つけることなく互いにその寿命をまっとうしていた、はずだった。
「誰か」がうっかり人間社会に持ち出しちゃったもんだから、くっつきたかったわけでもないのに人間にくっついちゃったら、なんだか重篤症状が出たとかですっかり「悪玉菌」扱い。
勝手わからぬヒトの体内で免疫細胞と闘わされれば、何しろ自身の生死がかかっているので負けじと急増殖、あっという間に仲間たちが全世界に。
生き残りをかけて、でも持ち前の能力っつったってこのくらいのことしかできないのだが、触手を変異させたりもしてみたが。
「ああ、蝙蝠に還りたいだけなのに」
と思ったかどうか。
新型コロナウイルス

という(会議後の)社長の雑談が、久しぶりに面白かったんだが。
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人間が増えすぎちゃったんだよな、と言ってしまうのは簡単だけど。
そんな人間に対する、地球が放った「免疫細胞」がこのコロナウイルスだとしたら、何とも切ない話だな。
この喩えに従えば、人間は本来、何にくっついて暮らしているのが幸せだったんだろう。