連休、雑感。

全地球的規模でみれば、未だどこの国もコロナ禍を終息できておらず、この先も1年やそこらでなんとかなるような問題ではないことは明らかだ。
ここまであっという間に全国に感染者が広まってしまったのは、人も物も(カネも)、「鎖国時代」とは比べ物にならないほど迅速かつ複雑・多量に行き交っていて、もはや誰にも止めようがないからに他ならない。
日本だけがなんとかなると思っているんだとしたら、未だに鎖国気質なのか、「神風」でも吹くと信じているかのどちらかで、なんともお気楽。
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ここ数日、夕方の近所の県道渋滞は、平日の同時間帯よりも明らかに酷い。
自家用車さえ持っていれば、家にいるのと同じように家族以外と「濃厚接触」にはならないで移動できる、という解釈を引っ張り出したらしい。
そもそも「目的地」に着けば全員降りるし、コンビニにも立ち寄るし、トイレくらい行くでしょ。
生活必需品の買い物は不要不急に当たらないからって、近所のスーパーじゃなくわざわざ県境超えてアウトレットモールまで、ですか? それもご家族全員参加で?

某TV局が随分前にグラフ使って報道してたけど、「人の移動と感染者数の因果関係」ってわかりやすい指標。
「人の移動を抑える」のが大事なんだよ。
「どこに行くのを、何をやるのを我慢」っていう個別具体的な話じゃないのよ。
それじゃ(変異株)感染者は減らない、ってこと。
最近の報道は、専門家のことばを借りながらも枝葉末節なことばかり取り上げて、挙句「ことば狩り」してうさを晴らしてるようにしか思えない。

とはいえ天気の比較的よかった昨4日には、俺も久しぶりに近所のパン屋に昼食を買いに出て、これもついでに近所の公園に寄り道してみたのだが…公園のベンチ全~部、家族連れが我が物顔で占有してるし。
例によってピクニック気分なのか、ベンチの前にレジャーシート敷いて座ってるんだったら、ベンチを物置にする必要もないでしょうに、揃いも揃って。
「ステイホーム」でストレスが溜まってるのって別に、子育て世代の人たちばかりじゃないから。

「自決主義」が貫けるオトナたちはまだしも、毎年この時期、吹奏楽部の定期演奏会が目白押しで俺も楽しみだったわけだが、学校の判断によって違いはあるものの、今年も全てが中止や(無期)延期、無観客配信といった対応になってしまった。
子どもたちは限りある学校生活の過ごし方を、自ら選ぶこともできずにいる。

この短い散歩の間に久しぶりに目にした外界は、緊迫感の感じられない変らぬ光景ばかり。
途中の商店街では、屋外飲みのグループがいくつも、マスク外して大声で談笑中。
スーパーでの買い物は、家族連れや学生グループがつい目についてしまう。
この後、誰かの部屋で飲み会でもやるのだろう。「全員一緒に買い物」も、このイベントの一環らしい。
隣室の学生は、昼間まず部屋にいないし。
テレビのニュースでは、繁華街でインタビューを受けて「すごい人ですねー」って他人事な発言が繰り返されてる…。
「緊急事態宣言」だか「まん延防止等特別措置」だか知らないが、もう一体、これらのどこが「不要不急」なんだか。
例年の連休以上に、はっちゃけてるじゃん。
元々退屈耐性の低い、この時期毎年県外とか海外に旅行に行って憂さを晴らしてた(カネ余りの)奴らが、今年は地元に残っているからなおさら質が悪い、ということか。

自粛している人はことさらに「自粛してます」と表明したりはしないだろうが、Twitterでも例年のGW同様、観光地の写真が流れてくるしブログも遠出自慢…これだけでも正直、知り合いでいることが嫌になる。
たまの休みに好き勝手やってるコイツらが、万が一にも病院に担ぎ込まれて困らないように、俺達が外出自粛させられてるかと思うと、本当にバカバカしくてやってらんない。
なんならアンタらのお陰で、却ってストレス溜まるんだけど。

一度、今のインドのような状況にまでならないと、わからないんだろうな。
日本ではさすがにあそこまではならない、と誰がいい切れる? 
大阪なんかは重症でも待機者が出ていて、かなり近い状況になっている気がするが。

自慢するわけじゃないが、俺はこの連休中、いつもより多目に食料を買い込んで「自宅療養」のリハーサルみたいなことになってた。
というのも。
社員某一名のPCR陽性判定を受けて、ようやく我が社の昼前の「御前会議」で決まったのは、検温記録の徹底管理化、だけだったらしい。
先週火曜日(4/27)のことだ。
早速、全社員分の検温記録表が作られて、その日の午後には「第一回検温大会」(笑)が開催された。
そもそも、何度以上が(我が社的に)「発熱」認定なのか?
発熱が認められた後の対応方は?
出勤停止の期間は何日? 解除の条件は?
その間の給与保障は?
…「市民の立場が欠落した対応は、『お上』と同じ」と同僚、苦笑い。
そしてこういうときに期待に答えようとしてしまうのが、俺という人間だ…37.8℃。
その場がさすがに妙な空気になってしまったので、丁度急ぎの仕事が一段落していたこともあり、手早くデスクを片付けると一方的に早退を宣言して帰宅。どうせ今日は、これ以上やっても仕事に身が入らない。

こういうときはとかく、会社から帰るいつもの景色が違って見える、とかいわれるものだが、今回の俺は本人ビックリするほど、そういう感慨は何も湧いてこなかった。
あの懐かしい、学校を早退して熱に浮かされながらみる街の光景、って感じにすらならない。
「理由はよく呑み込めてないものの、今日は早く帰れて俺、ラッキー」くらいの感覚。夕方の一斉帰宅に巻き込まれずに済んだ安堵感の方がポイント高い。
前回のブログに偶然、思いをアップした通り、自身の数年先の未来に何の期待も抱いちゃいないのだ。
仕事への責任感なんかでもない。そこに仕事があるから手を動かしているだけ。
やらなくてもいいことなら、さっさと放り出してこうして帰る。
社会に出てからもう長いこと搾取し続けられてきたせいか、すっかり「無敵の人」根性が沁み込んでしまったらしい。
正規雇用の方々が、有給休暇に車に家のローンに子どもの成長に、と言っている間、俺にはこれらの何ひとつ「大事なもの」が手元に残らなかったというだけだ。

どうやら「非接触型」体温計が問題だったようで、帰宅してから使い慣れた腋下式体温計で計ったところ、異常は認められず。もちろんここまで、咳や高熱に伴う症状などは一切ない。
その後も何度か、いつもより頻繁に検温してみたが、発熱はなかった。

すでに17時を回っており、今日これから何らかの(医療的な)アクションを起こす、というほどの状況でもなさそうだ。
ひとまず上司には、帰宅後の検温結果の連絡を入れて、併せて明水曜日の欠勤を願い出ておいた。
それから、「明日」の自身の身の振り方について、ネットで調べる。

その日の感染者数の報道、東京都828人、千葉県129人。大阪府は1230人と過去2番目の多さ。
千葉県では丁度明日、4月28日からまん延防止等重点措置の対象に7市が加わる。これで俺の感染が判明すると、明日の感染者数に目出度く俺も載る*1わけか。
そう思ってみるものの、この時点ではまだ遠い世界の話のようで、実感がわかない。

まぁこんな状態だったので、翌日は(県のHPにもあったように)ひとまずかかりつけ医に電話を入れてみた。
これまで何度か、同じような対応を自身は待合室で見聞きしていたことだったが、予想通り「発熱外来」は対応できない、の一点張り。
向こうで電話を取ったのも予想通り、俺的には「ハズレ」な方の事務員さんで、多分これから先もずっとこういう仕事のやり方を続けるんだろうなぁこの人は(左手の薬指に指輪があったが)。
俺も今の職場で、少なくとも我が社の内情を知っている方からこう思われないような仕事の仕方をしたいものだ。
患者としては腑に落ちないが、今日も恐らく混雑している診察時間中に、わざわざ先生にご確認いただいたことにはひとまずお礼を言っておく。

俺としては「ただの風邪(=肺炎ではない)」という診断がつけばいいだけなんだが、PCR検査に該当するかどうかから、患者本人が自分で判断しなきゃならないシステムなのか?
学生当時の独り暮らしの俺だったら、この段階で間違いなく「思考停止」してただろうな。
「国民の生命と財産を守る」べき制度がそもそもこんなにも穴だらけ。

とはいえここまではまぁ想定通りだったので、次の手段として、県HPで調べておいた一番近い発熱外来の病院へ電話を入れてみる。
こちらの個人病院も最初に対応していただいたのは事務員さんだったと思うのだが、症状、状況を丁寧に聞き取っていただき、病院までの移動手段を訊かれた後で、看護士さんから折り返す、と丁重な対応をしていただいた。
10分ほどして折り返し電話が入り、公共交通機関で移動をしなくて済む、俺としては名前を聞いただけで場所が思う浮かぶ(個人)病院を紹介していただいた(駅への通り道で、看板だけは毎日目にしていた)。
紹介先病院で対応できない、といわれた場合のみ「改めて電話ください」と、こちらの立場までご理解いただいた、さすがの対応。
思ってた以上に「医療従事者」といわれる人たちのスキル格差は大きいようだ。

さっそく電話をいれてみた内科では、事情を話すと13:00予約来院の対応をしていただいた。
もちろんこの段階では「厳重隔離」、念のため待合室ではなく検査室に通されたが、物腰柔らかい先生は、たったこれだけのことでどれだけ患者が不安になるかもよくわかっている、という感じで、看護士から事前申し送りが行っているからか口数少なくも、せかす感じもなく話を聞いてくれると、「まぁはっきりさせておきましょう(PCR検査)」と即決してくださった。
人間、どうせいつかは(病院で)死ぬんだから、1分1秒でも心穏やかな方がいい。
このご縁を機にいっそ、「かかりつけ医」をこちらへ代えちゃおうかなーと真剣に考えていた。
だって、ただ風邪で発熱しただけでも診察断られちゃう「内科」って、俺にとっては意味がないし。
というわけで自己負担なしの「行政検査」終了。

そもそも同じ社屋に感染者が1名出たというだけで、今回のこの騒ぎだ。
陽性になってしまった人に罪はない、とは思いながらも、日頃からのヤツの行動ぶり(前回の緊急事態宣言下でも、遠方の観光地の土産物を得意気に会社に持ち込んでいた)を思えばやっぱりクズ認定、同情に値しない気がする。
実際、数年前にはインフルエンザを会社に持ち込んだ輝かしい「実績」がおありで、今回も感染第一号はコイツになるだろう、と俺もずっと思っていたわけだが。
保健所からの聞き取りも電話だけだったそうで、濃厚接触者の認定もこの電話での「自己申告」のみに基づいている。
俺とは部署が違うとはいえ、こいつが保健所に申告したという濃厚接触者(2名)の他にも、同じように一緒に仕事していた人、いたでしょーに、と危惧していたが、都の保健所ではもはやいちいち「ウラを取る」ほどの余裕がないらしい。
俺の検査に先だって、濃厚接触者として自身を疑った社員がひとり、自費でPCR検査を受けていた(こちらは後にウチの上司がねじ込んで、検査費用を会社負担とした)。ご高齢の両親を自宅で介護されているので、自覚症状がなくとも神経質にならざるを得ず、やっぱり傍迷惑な話だ。
蛇足ながら、発熱等の症状がなければPCR検査は全額自己負担(というかこの段階で病院じゃなく民間検査利用になる)。濃厚接触者としてヤツが申告してさえくれていれば、症状の有無に関わらず「行政検査」の対象で、無料で済んだはずだった。

翌29日は祝日だったが17:22、直接先生からお電話いただいた。
「陰性でした」
やっぱりほっとしてしまう。
検査後は、自身の身柄がどういうことになるのか調べれば調べるほど、現実が重くのしかかってきていた。
結果を待っている時間の、長かったこと…。
しかしそんな中でも、すでにご存知の方も多いとは思うが、以前父から教わっていた、諏訪中央病院の先生が作成、HPに公開されているパンフレットが、俯瞰的に自身の状況を把握し、「結果」を待つ心構えを築く上でとても役立ってありがたかった*2
昼夜不問で頑張ってくださっている検査技師の方々、祝日なのに連絡待機してくださっていた病院の方々、その他たくさんの方たちに支えられている「日常」なんだな、と実感した。
心の中で感謝することしかできない。
というわけで、せめて自らにできることをと、この連休中の俺は本当に必要最低限にしか、外出しなかった。
冒頭にも書いたように、万が一の自宅療養のリハーサルとしてはいろいろと、具体的な課題が浮き彫りにもなった。
人間の想像力なんていったらせいぜい、今街に出てはっちゃけちゃってる連中や仕事しているつもりの事務員程度なので、やはり実際に動いてみるに限るようだ。

かつて学校で、「有意義な過ごし方」なんか教え込まれちゃってるから、長期連休というと何か「規則正しい生活」で「建設的なことをしなければならない」ように仕向けられているが…俺は、何~もしない(これも「自己最高記録」的に)。
みんながみんな、五輪に出られるような立派な人間じゃないんだよ(笑)。
そういえば去年の今頃って、何やってたっけ?

*1:本当は集計作業のため、タイムラグがあるはずだが

*2:患者を取り巻く事態は毎日の報道にあるとおり刻一刻と変化しているし、自治体によって細かい対応は異なる