1月1日 今年も東漸寺で、日付変わる。
西に上野・寛永寺、東に成田山・新勝寺がある京成線は大晦日の夜、両方向とも終夜運転。
終電を気にせず大晦日の23:30、去年と同じく津田沼・東漸寺へ、除夜の鐘の音を聴きに。
ありがたいお経は「音程」や所作が時にコミカル。今年は最初から読経終わりまで居てみた。
ここの梵鐘は一般の人たちが突くもので、すでに行列ができているが、最初に僧正さまが「お手本」を示してくださっているというのに、単に力任せに叩けばデカい音が鳴るとでも思っているのか、単純バカが数名ごとに登壇するのは困ったもので、こういう手合いにあっては鐘からも悲鳴のような音しか出ない…程なく近隣から苦情が入って、来年からでも中止になっちゃうんじゃないかと、よそ者ながらに冷や冷やする。
最後のおひとりまで鐘を突くことができるので、当然煩悩の数は108ツには収まらない…。
元日、8時には起床。一年の計は、などという殊勝な心がけからではなく、せっかく駅近に住んでいるのにこれまでノーマークだった「成田山開運号」をデジカメに収めておこうと思い立った、という。
ご覧の通り、特殊な「隈取」を施したスカイライナーの特別仕様車が、昼間の京成本線を走る*1。
その足で、昼食に間に合うタイミングを見計らって実家へ戻った。
明日はスーパームーンだとか。
1月2日 秩父(定林寺、秩父橋あたり)
しかし実家だからといってこうしてゴロゴロと過ごしていても、埒が明かない。
年末に「あと一回」が果たせなかった秩父へ向かうことにした。
意を決して8時に起きたものの、家族と一緒に朝食、などとやっていたらあっという間に9時半を過ぎていた。それでも遠路千葉から赴くよりは早く着けるし、気持ち的に余裕をもてる。この分だと昼食は電車内ではなく秩父に着いてからになりそうだ。
入間市を過ぎるとこの車両に俺以外の人影はなくなったが、なぜか飯能からの4両編成は満員電車状態。駅の時刻表によると目の前で行ってしまったタイミングだったらしいが、逆に次の電車にこれ以上なく早めに並べたわけで、結果オーライ。幸先いいぞ、2018年。
ボックスシートに相席になった若い女子2名は20歳代の社会人らしいが、いわゆる「底辺校」な学生時代の思い出話というやつが面白くって、俺はヘッドフォンを被る気にならない。
今日は途中駅で降りる人もほとんどなく、満員のままで西武秩父に到着。
札所13番 慈眼寺
湯治時代には素通りしていた慈眼寺に、ようやくちゃんと詣でる。
納経堂には経車(?)があって、これを回すとお経を読んだと同じだけの功徳が…って、重くてひとりじゃ回 ら な い …。
当初の目的は秩父祭り会館、だったはずなのだが、建物の前までは行ってみたものの、武甲山がこうして間近に見えるご機嫌な天気の日に「インドア」なことをする気もなくなっちゃって、こちらはまたスルーすることに。
秩父ベーカリー(妙見公園)
実は途中乗り換え駅での昼食入手にことごとく失敗しており、手ぶらのまま秩父までたどり着いてしまった。さすがに個人商店ばかりで正月からはやっていないのでは、との絶望感を打ち砕いてくれた、秩父ベーカリー*2、なんと営業中。あまりにありがたかったので、思わず店主のおじさんに伺ったところ、秩父神社への参拝客がここ数年で増えたので、昨年から正月休みも営業することにしたのだそうだ。「助かりました!」
向かい側の妙見の森公園に日当たりのいいベンチを拝借して、遅い昼食を摂りつつ、今日これからの段取りを、ようやくつらつらと考える。
まずは当初の目論見通り、先日撮影に失敗しちゃった開運案内板「どこいくべぇ」の、今年の干支である「犬」を、ちゃんとデジカメに収めること(年賀状!?用)。
それから、はっきりいってネタバレだが、定林寺を経由して秩父橋まで、国道299号をぶらぶら歩くことにした。
普通だったらまぁバス(かレンタサイクル)な距離だなこれは。
土地勘はあるが、距離感はむちゃくちゃかも、俺…。
▼武甲酒造の杉玉、お正月バージョン(?)
札所17番・定林寺
定林寺は、正月の静寂に包まれていた。
俺がたどり着いたときには丁度、若い親子連れがアニメのワンシーンを再現しているのかスマホ撮影中、だったが。息子さんは体格からすると第二次反抗期でもおかしくない年齢と思われ、いまどきの「友だち親子」って、こういうもんなのか。
秩父橋も定林寺も、正月休みだというのに未だに一見してそれらしい人たちが途切れることがなかった。しかしこの周囲の静謐さに気圧されるのか、先のご家族がこの場を去ると、みなさん口数少なめ、思い思いにぽつり、またぽつりと現れては帰っていく。
▲西国・坂東・秩父百観音とそれぞれの御詠歌が刻まれる梵鐘(県指定有形文化財)。
秩父橋
巨大な琴柱型の橋脚からワイヤーで橋梁を吊る形は、秩父駅正面で荒川を渡る秩父公園橋でも採られた工法だが、こちらはスパンがそれほど長くないからなのか琴柱は向こう岸に1基設置、河床に柱はない、というのが現在の秩父橋の姿。秩父公園橋では同じく1基だが橋の中央に設置してあって、シンメトリーなハープ橋の姿になっている。
▲写真向こう側が秩父公園橋。
一方、コンクリートのアーチが美しい旧秩父橋がそのまま歩行者専用橋として残されている。この二橋の間に残っている橋脚2基は初代秩父橋のもので、現地の解説板によるとワーレントラス橋*3だったとある。
湯治の際にはまだ、旧秩父橋をバスで通っていたような気がしたんだが、どうやら俺の思い違いだったらしく、新秩父橋の開通が昭和60年とのことなので、補修工事か何かの光景を見誤って記憶していたものらしい*4。
デジカメ片手に橋を渡ろうとしたのがよくなかったらしく、「ここから誤って落としてしまったら…」という余計な(リアルな)妄想から、俺の高所恐怖症「スイッチ」が入ってしまった。御茶ノ水に架かる聖橋同様、足元にはちゃんと強固なアーチがかかっているのだが、そう自らに言い聞かせてもさながら吊り橋の上にいるような不安感が拭いきれず足がすくんでしまって、情けないことに欄干に近寄ることすらできない。荒川下流方向に秩父の街を望む、絶景なのだが…。
車専用になっている新秩父橋側から、旧秩父橋の全景カットを撮りたいところだったが、見れば新秩父橋の欄干は膝くらいまでしかなく、もちろん足を踏み入れることすらできなかった。
というわけで全景のカットは、一連の解説板が設置されている国道向かいの東屋に向かって、新秩父橋の下を横断している歩道途中からのもの。20番札所への徒歩ルートになっているらしいのだが、国道向かい側に上がると札所へ左折する山道は土砂崩れのため閉鎖されており、迂回路の表示があった。もちろんさすがに今日の俺は、そこまで足を伸ばすつもりはないが。
帰りは丁度いい時間にあったバスを利用。秩父駅で途中下車。
今日の最終目的地、今宮神社へ…は、西武秩父駅からの方が近かったな…。
途中の国道沿いに、湯治時代にこの辺りを散歩した頃には、木造古民家風の書店と後に映画にも描かれる某有名ファストフード店に立ち寄ったことがあったと思うのだが、見当たらなかった*5。
このうち書店については、入店してみると土間だったのにびっくりしたのだが、俺の記憶よりかなり西武秩父駅寄りの位置、鉄筋コンクリートの読書クラブの建物がそれだったのではないかと思う。
ファストフード店については映画ネタということもあり、ネット上で地元の方が検証されている記事に行き当たった。キンカ堂ビルの一角に入っていたものだが、ビルごと廃業・解体されて、現在は駐車場になっている、とのことだった。
そういえば往路の途中、映画の土蔵のシーンで使われていた秩父地方庁舎前交差点にある旧日本旅館の建物がシートで覆われており、どうやらこのまま解体されてしまうらしい。
▲獅子舞に遭遇。