第1回印西まちなか音楽祭。

アメリカ、バイデン大統領の来日(したのは17時過ぎになってからだったが)、厳戒態勢の都心(池袋ジャズ)には元々行く気がない。というかまだ、仕事でもないのに週末に県境を出るつもりには到底なれない。
ネットを巡回していて本当に偶然知った、記念すべき「第1回印西まちなか音楽祭」の方へ足を向けた。
予定を決めてしまえば、仕事休みの週末でも8時に苦も無く起床できるものらしい。
しかし実のところこの時点でまだ、お目当てのバンドがいるわけでもないしバンド名だけ見ても顔ぶれが想像できるはずもなく、外出を迷っている。
しかし休みの日も一日中、パソコンの前で液晶画面を眺めているという過ごし方は職場での自分と変わらず、(主に俺に目の)健康によろしくない。
という自分への言い訳を発動して、ようやく自身の身体を強制外出へ仕向けることに成功した。

千葉県内の一角に暮らして10年になるのに、意外なことには北総線、初乗車。
やっぱり高い(運賃)。

2022年10月に値下げを予定してるけどね。

それ以上に初洗礼を受けたのが、車内放送(車掌肉声)で、この辺りの乗客みんな、耳が遠いのか? というくらいの爆音だった(往復とも)。
スカイライナーが通勤電車並みに行き交っており、今日も撮りテツさんを見かけたが、こう立て続けに姿を現わされると逆に、ありがたみに欠けるな。
乗り入れ先の京急や都営浅草線のとばっちりを受けて遅延することは多いが、自社線内での人身事故自体はあまり多くない印象を勝手にもっている。そりゃーこんな目の前で日常的に、時速130キロくらい*1でかっ飛ばされたら、「これは痛そう」ってなるわなやっぱり。

元々新幹線規格で確保された幅の広い掘割の中を走る沿線の景色はぐねぐねと曲がることもなくひたすらまっすぐで、さながら絵に描いた「近未来都市」のよう…おキレイすぎて、俺が暮らしてたら早々に息が詰まりそうだが。
50年後、100年後に果たしてどういう姿になっているのだろうか。打ち捨てられて朽ち果てて行くコンクリートの塊、みたいな光景になっていなければいいのだが。
そんな景色の途中からは、まるで何かに気づいたように、太陽光パネルが並びだす。

各会場とも概ね11時開演だが、次の電車だと11時を回ってしまうので、10:38印西牧の原駅着とした。
俺にとっては県内に残る未知の魔境のひとつ、インザイへの入国(をい!)。

駅を出たところにすでに本部テントが張られていたが、「プログラム」といわれてイメージする大判の冊子が見当たらず、お子さんにスタンプラリー用の折りたたんだものを配布しているのが目についた。
声をかけて、いただいてみるとこれがプログラムで、この版型は初めて見る。ちょっととまどう。
机上のトレイに綺麗に立てて並べられており、これなら風に飛ばされることもないしかさばらないし、いいアイデア

話の行きがかり上、先になんだかケチばかりつけてしまうが、
この駅前テントに並んでさっそくステージが設けられており、演奏が始まると当然、駅から出てきた人たちの多くが興味深げに足を止める。
誘導のための人員配置はされているのだが、駅への出入りや南北への通り抜けをする人たちのための「導線」確保、という点では、それほど強い声掛け・誘導は行われているようでもなかった。

スーツ姿で移動している集団と何度か行き違った。
恐らくは自治体関係者かと思われる。「ハレの日」にその一角だけがお仕事モードでなんとも浮きまくっており、事前に(逆)ドレスコード指定、とかできなかったんだろうか(いや、お仕事は大事でしょうけれど)。

ぱっと見大掛かりな「天空ステージ」なんかでも、ボーカルはマイクなしの生声だったりして、近隣住民への配慮なのだろうとは思うのだが、これから街をあげて音楽イベントを育てていこう、という気概に反してちょっと腰が引けてるようにも見えてしまう(単にドラムの演奏が聞きたいだけですが)。

とにかく場内、酒がない(いや、わかってますよ。わかってますけど…)いい音楽にはやっぱり、付き物じゃないですか。
何の予備知識もなく、音に誘われるままに足を向けた、北口広場での「真杉庸平トリオ」の演奏。
ぱっと見この時間帯、本格ジャズの演奏はこれひとつだけだったようだけど…あぁ、ビール飲みたいっ!
そしてやっぱり、アドリブは生もの、生演奏に限るのだ。巷では「今の若者はギターソロを飛ばし聴きする」とかいわれてるけど。

などなど。

しかし各会場、この手作り感(手弁当感?)いっぱいな感じは逆に、手慣れた広告業者が入っているイベントなんかよりも「初回」への主催者側の熱意を感じられてよかった。

"Happy Four"演奏中

コロナ対策で移動制限も視野に、出演者募集の条件を「在住在勤限定」としたこともあり、目を見張るような演奏に出会える確率はそんなに高くないのかな、という印象だったが、逆にこれから、このイベントを演奏の足場として経験を積み重ねていき、あるいは互いに切磋琢磨していって、全体的な「底上げ」現象が起こっていったら素敵だな、と思った。
そのとき、音楽はこの街に着実に根付いてるんだろうな。

”CIRO’S”演奏中。

(開始時期が)近いところでは「すみだ」や「ふなばし」などのように、または全く違った色や方向性を持つイベントに育っていくのか、今後が楽しみだ。

その一方「歌を忘れたカピバラ」としては、こうして演奏活動が徐々に息を吹き返していくのを、ちょっと複雑な思いももって見つめている。
とにかくこの、まだ何かと困難な社会状況の中で開催を決断して、大きな一歩を踏み出された関係者のみなさまには、本当に頭が下がる。本当に久しぶりに生演奏に触れる機会を提供していただいて、ありがとうございました。

何やら寄り道。

実は近隣在住の方の消息が気掛かりだったこともあり、もしかするといずれかの会場でニアミスできるのでは、との思いもあって出かけてみたわけだったが…出演者側にはそれっぽいものは見当たらなかった。
各会場でもそれらしいお姿を見かけないだろうかと思っていたが、どうやら果たせず…。

帰り道。

乗り換えで降りた新鎌ヶ谷駅ではなんと、ストリートピアノを発見!
お借りした駅のトイレは、千葉県産の木材がふんだんに使われており、ヒノキの香り。
「えきなか」には懐かしの「東京チカラめし」の看板も。
今後も何か機会があれば頻繁に、この魔境の方向にも足を向けたいと思った俺であった(こらこら)。

*1:最高時速は160キロで、在来線最速