『この夏の星を見る』

この年末年始休みに読もうと買っておいて、楽しみにしていた『この夏の星を見る』、まもなく読了。

奥付を見ると、発刊は去年6月でしたか(時間が経つのが早い!)。

年始休みが終わり、出勤した職場では最近推理小説を読んでいるという上司と読書の話題になったので、今読んでいる本ということで話をしたら、
「やっぱり阿仁さん、『ガッコの先生』だよ」
という反応。
…いや、別に学生・生徒の話を読みたかったからじゃなく。

長引くコロナ禍自粛の中で、これはもうずっと、心の支えや乗り越えるための知恵やヒントを探していた。
11月の自身の誕生日あたりから実は、メンタルの弱り方が結構深刻だった。12月に入ってさすがに少し落ち着いてきて、ようやく本を手に取る余裕も出てきたところ。
「コロナ禍でままならない思いをしたすべての人に贈る感動作!」
というキャッチコピーのこの本に出会った。
物語の中ではあるけど、若者から少しでもそんな力を吸収出来たら、という祈りにも近い気持ちで読み始めた。
それにこれも毎度のことながら、俺に対して「先生」は、全く誉め言葉にならないんですけどっ*1

「人は様々な事情を抱え、それでも平然と生きている。」
ということばは、伊集院静氏だっただろうか。
そこにコロナ禍という不確定要素が入り込んできたことで、もろくも崩れていく「日常」は、この国のすべての人たちが多かれ少なかれ経験させられたことだろう。
音楽活動から離れたら友だちがひとりもいなくなってしまった(ことになっている)俺としては、物語の中で「スターキャッチコンテスト」を巡って主人公たちが一気に繋がっていく前半部分を読んだだけで、目がウルウルしてしまう。
物語後半では、子ども達がそれぞれを互いに思いやる気持ちの、なんと深いことか。
いつもの入浴中の読書ではこんな具合に、各章毎に目頭を熱くしてしまった。
読書習慣なんかないはずの俺が、こんなに厚手の本を夢中になって読み切ってしまう。
なんか読み終えてしまうのが惜しくて、ここへきてちょっと意図的にペースを落としてみたり。

なんとなく「星」繋がりで、入浴中のBGMに「あの花」サントラをチョイスしてみたのだが、これがまた、この作品用に書き下ろされた曲かというぐらいピッタリで、なんだか盛り上がってしまった。

*1:一族「先生」家系の、反逆児